「1日バイト」アプリで確保 利用JA拡大 収穫期に活躍
主に利用が広がるのは「1日農業バイト デイワーク」というアプリ。生産者・求職者ともパソコンやスマートフォンのアプリから登録する。どこの農場でいつ働けるかなどが一目で確認できる。
北海道が先行
中でも利用が進むのは北海道だ。2018年に十勝地方の2JAが全国に先駆け試験利用を始めた。現在、道内の半数近い49JAが利用。組合員に活用を勧める。現在は畑作物の収穫などでの人手確保が中心だが、今年からJAさらべつが酪農での活用実証を始めた。
十勝地方20JAによる「とかちアグリワーク協議会設立準備会」が周知を進め、動画も製作。同地方の20年度のマッチング数は1万1414件。利用農家は234戸、登録者は2795人だった。同会の下山一志会長は「多くの人に地域や農業を知ってもらう良い手段になっている。利用者の満足度も大きい」と手応えを話す。
他の仕事をしながら農業もする「パラレルノーカー」を推進するJA北海道中央会は、6月にアプリを運営する鎌倉インダストリーズと業務提携した。
9割超 好感触
長野県では、JA長野県農業労働力支援センターが「デイワーク」活用を県内JAで進める。21年は11月25日までに9JA管内の農家95戸が働き手を募集。3398人が実際に働いた。果樹産地を中心に利用が広がる。
アンケートで利用農家の9割超が「今後も利用したい」と回答。一方、求職者側も「1日単位の就労」を利点に挙げる。ただ、需要に対し募集する仕事が少ないのが課題。センター事務局のJA長野中央会営農農政室は「研修などでJAや農家に利点や使い方をさらに発信することが必要だ」とみる。
果樹産地中心
東北各県では、本年度からアプリの活用が本格化。特に果樹産地を中心に活用が進む。
山形県では4月から、県やJAが生産者らに活用を呼び掛け。9月末までのマッチング実績2307件のうち、約6割がサクランボを中心とした果樹農家だ。青森県弘前市では、リンゴの収穫に合わせ10月から運用がスタート。11月25日時点で400件近いマッチングが成立した。
「デイワーク」以外のアプリもある。松山市で農産物ブランディングを手掛けるKIRIは20年から、愛媛県内で農業アルバイト紹介サービス「AIagri.」を提供。農家はLINEや電話で1日単位、1人から募集できる。求職者もLINEから応募可能だ。
11月末のアルバイト登録者は4141人。1年半で10倍に増えた。登録農家拡大に向け県内全JAとも協力する。来年から県外への拡大も予定する。