リンゴ群雄割拠 秋冬の台湾市場 NZ産増加、日本と競合
農水省に当たる農業委員会によると、NZ産の昨年9~12月の輸入量は、4430トン。前年同期の2・7倍で同期の過去最高を更新した。これまでは南半球の気候から他国とすみ分けされ、秋冬の輸入量は少なかった。2012年同期は100トンにも満たなかった。
一方、同国は温暖な気候を生かし輸出向けのリンゴ育種に力を注いでいる。輸出先の食味やニーズに合わせ、新品種を育成した。長期保存技術の普及も進んだ結果、台湾での同国産の輸入シェアは、12年産の6%から20年には20%まで伸びた。
台湾は、日本産リンゴの最大の輸出先。市場を巡って各国がしのぎを削る。米国、チリ産が減る一方、高品質を武器に日本産は着実に増えている。また、日本産と競合するNZ、南アフリカなど「南半球組」の増加が目立つ。
日本のリンゴ輸出業者は「新型コロナ禍の影響で、9月に台湾に輸出するはずの南アフリカ産が1カ月遅れた。その分、10月の日本産がしわ寄せを受けた」と競合の実態を明かし、「今シーズンは、不作に加えて需要期の春節(2月1日)期間も短く、輸出が上積みできるかは不透明だ」と話す。