[論説]インフルエンザ猛威 食で免疫力を高めよう
国立感染症研究所などによると12日までの1週間、全国5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は約17万人で、休診で報告数が少なかった前週と比べて約3万人増えた。昨年同時期と比べると10万人以上多く、感染拡大は続いている。都道府県別では、大きな流行が発生・継続する恐れのある「警報レベル」が出ているのは40府県に上る。
正月休みが終わって学校が始まり、受験シーズンを控えている生徒は多い。春節で日本を訪れる外国人も増える時期だけに、健康管理に気を配りたい。特にインフルエンザは肺炎や脳症などを併発し、重症化する恐れがある。高齢者や幼児、妊娠中の女性、持病のある人は注意が必要だ。
治療薬不足も懸念されている。「タミフル」などの特効薬はあるが、患者の急増で治療薬が足りなくなる恐れもある。ジェネリック医薬品大手の沢井製薬は、年末年始も工場を稼働させて抗インフルエンザウイルス薬「オセルタミビル」の製造を続けたが、供給が追いつかず、8日に供給を一時停止する事態となった。同社は1月下旬以降の供給再開を目指すが、マスクや消毒薬不足に陥った新型コロナの教訓を踏まえ、医療現場が再び混乱を起こさないよう、安定供給を急いでほしい。
感染が急増しているのは、新型コロナの流行期にインフルエンザの感染者が少なく、免疫力が低下していたことが背景にある。加えて新型コロナの規制緩和で、感染予防への意識が薄れていたことがある。電車やバス、人の集まる場所などで、マスクを着けずに会話する人もいる。
まずは、感染予防に向けて意識を改めて高めることが重要だ。①手洗いと手指の消毒②うがい③換気④人の集まる場所でのマスクの着用――の基本対策を徹底しよう。
免疫力を高めるために、食生活も見直したい。インフルエンザなどのウイルス感染を防ぐ食材として期待できるのは緑茶だ。静岡県立大薬学研究院の山田浩特任教授は「緑茶はテアニンやビタミンCを含み、飲むことで風邪や感染症に強い体づくりの一助になる」と指摘、1日3回の緑茶うがいも勧める。
梅干しやビタミン豊富なミカン、ヨーグルトなど乳酸菌飲料も積極的に摂取したい。健康第一。食を通して免疫をアップし、感染を防ごう。