北海道の漁村に農業の力 廃棄野菜でウニ養殖 師走限定「生うに」水揚げ
農家のいない北海道神恵内村の沿岸で、野菜を餌に短期養殖している師走限定の「生うに」の水揚げがスタートした。ふるさと納税の返礼品にも活用。村の事業で栽培した新米「ななつぼし」と詰め合わせて、全国各地に発送されている。
養殖は、村と古宇郡漁協神恵内ウニ養殖部会が2016年に始めた。9月から3カ月ほど沿岸に設置した円筒状の籠の中で、キタムラサキウニを育てて、市場で品薄になる12月に出荷する。
餌はJAいわみざわを通じて調達した、規格外のカボチャとハクサイ。今年は計約12トンを与え、1・6トンほどのウニの水揚げを予定する。
今季は12月上旬に約80キロを初水揚げした。出荷先は後志管内の飲食店の他、ECサイトでも販売する。ウニ養殖部会長の佐藤孝次さん(61)は「(餌の)野菜のおかげで安定生産が可能になってきた。品質も歩留まりもよい」と笑顔で話す。
「ななつぼし」と詰め合わせ
ウニの一部はふるさと納税の返礼品としても活用している。今年も村による事業の一環で栽培した「ななつぼし」との詰め合わせで全国各地に送る。
村内は農業者ゼロだが、都市との交流人口を増やす目的で貸農園の開園を目指している。数年前からは、地域おこし協力隊員を中心に水稲や野菜栽培を手がけていて、この秋も無事収穫を終えた。
ふるさと納税の返礼品として使う「ななつぼし」は、村名と米(まい)に由来する「神の舞(まい)」とネーミング。300グラムが入る専用袋も用意し、「生うに」のパック(80グラム入り)と詰め合わせ、今月末まで発送作業を行う。100セット限定、1セット1万8000円。