法人から独立主流
「いきなり独立して就農するのではなく、農業の知見を広げながら準備しましょう」。記者は、年間2000人の就農希望者の相談に乗る「全国新規就農相談センター」の角田賢人さんに尋ねた。
独立就農には①農地②資金③技術④機械・施設⑤住居――が必要で、就農初年度の資金だけでも数百万円以上かかる。角田さんによると、男子生徒のように農家の後継者以外が就農する場合、農業法人で働きながら、これら五つを準備するのが近年は一般的だ。経営や技術を学びつつ、就農できる農地や住居を探し、給料で資金を貯めていく。独立を支援する法人もある。
一方、公立の農業大学校や農業の専門学校、大学の農業系学部などに進学して農業の知識や技術を身に付け、独立就農や農業法人への就職を目指す人もいる。農業系ではない大学で学んだり、企業に勤めたりした後に農業を志す人も多い。高校卒業後、すぐに法人で働くこともできるが、「就農に年齢制限はない。焦らずに決めて」と角田さんは助言する。
情報集めて対話も
未経験者の場合、進路を決める前に、そもそも農業とはどういう職業なのか、まずは十分な情報収集が不可欠。野菜なら、どんな品目があるのか、興味を引く品目にはどんな作業があるのか――など、基本的な知識から調べる。理想や憧れと現実は異なる場合も多い。実際に新規就農した農家の話も参考にする。
これらの情報は、同センター運営の「農業をはじめる.JP」など、インターネットで手軽に集めることができる。
ただ、農家から直接話を聞く機会も重要だ。「新・農業人フェア」など各地で開かれる就農相談会では、先輩農家、就農希望者を受け入れたい農業法人、自治体の話を聞ける。
体験で適性を確認
角田さんは、進学先や働く農業法人の参考にするため、農業体験やインターンシップも勧める。水稲や野菜、畜産などを体験し、自らの適性や作りたい品目、続けられる品目を現場で確認し、それに応じた進路を探すとよいという。
体験はJAや農業法人、自治体などが実施している。体験の情報が集まる都道府県に問い合わせ、紹介してもらう。期間は1日だけ、1週間、1カ月などさまざま。長期休暇などを利用して、1カ所で体験する期間が長い方が、その品目を作るイメージをしやすい。
高校生の場合、どの道に進むにも、保護者の理解や協力が欠かせない。「就農したい理由や希望する進路を保護者と話し合うことから始めてほしい」と角田さんは説明する。
無料通信アプリ「LINE」から「のうとく」アカウントを友だち登録し、調べてほしいことをメッセージでお寄せください。記者が目を通し、取材の参考にしています。また、友だち登録者には定期的にアンケートも実施しています。
登録には▶こちらのリンクにアクセスいただくか、右記のQRコードをスマートフォンのカメラで読み取り、表示された画面で「追加」を押してください。
■SNSも更新中
▶公式X
■これまでの「のうとく」
▶記事一覧へ
■読者の声を紹介
▶特集(10月9日付)