日本農業新聞は8日、東京都内で開く日本農業新聞全国大会で「第21回日本農業新聞一村逸品大賞」を表彰する。大賞に輝いた新潟県(有)寿々瀧の「おむすびジャム 神楽南蛮にんにく」の他、金賞2点「タプナード」(香川県(株)蒼のダイヤ)「あまおうラーメン」(福岡県(株)SoiL)を表彰する。3月25日に開いた中央審査会(審査委員長=漫画家・やくみつる氏)で決定した。
「一村逸品大賞」は日本農業新聞に掲載された各地の農産物加工品の中から、応募のあった商品を前期、後期に分けて審査し、年に1回大賞、金賞を選ぶ。2024年の掲載は169点、応募は49点あった。優秀賞には「北海道長沼かりんとう饅頭(まんじゅう)」「金時豆のパン」「お米の生しふぉん」「南農かすてら」を選んだ。
おむすびジャム 神楽南蛮にんにく
新潟・寿々瀧

飲食店や食品事業を手がける同市の寿々瀧が、米どころ新潟から新しいご飯の楽しみ方を提案しようと、おむすびに載せて食べるジャムを考案した。他に、「巾着茄子(なす)ジンジャー」「大口れんこんカレー味噌(みそ)」などがある。
1個(90グラム)750円。同社オンラインショップや道の駅などで買える。問い合わせはSUZU365、(電)0258(24)8677。
タプナード
香川・蒼のダイヤ

百貨店や物産店、楽天市場などで販売。1296円。問い合わせは同社、(電)0877(89)2797。
あまおうラーメン
福岡・SoiL

就労継続支援A型事業所を運営する同社が栽培した「あまおう」の粉末をスープに使い、麺には県産小麦を使用。お薦めのトッピングはのりで、特に塩のりと相性が良い。
市内の物産館や土産店、同社サイトで販売している。1袋330円。
問い合わせは同社、(電)0944(85)6700。
北海道長沼かりんとう饅頭
北海道・菓子匠森下松風庵

製造にこだわり、皮にはJAながぬまが扱う小麦「きたほなみ」と沖縄県産黒糖、あんには道産小豆を原料に使う。「かりんとう」の名の通り棒状に食べやすく仕上げている。黒糖が香る懐かしい味わいで、サクサクとした食感と程よいあんの甘さがバランスの取れた逸品。
5本入りから30本入りまで各種取りそろえている。5本入り(1本約35グラム)簡易包装が650円、個別包装の箱入りが850円。店の他、道の駅マオイの丘公園などで販売する。全国発送も行う。
問い合わせは菓子匠森下松風庵、(電)0123(88)0051。
北海道・JAさらべつ

1個の価格は「クレム・ダマンド」が350円、「グラッセ・ブレッド」が650円。冷凍販売されており、解凍して食べる。JAさらべつやパン店・ベーカリーカンスケの通販サイト、村の道の駅、同村のふるさと納税などで購入できる。問い合わせはJA経営相談課、(電)0155(52)2375。
お米の生しふぉん
茨城・JA稲敷

河内町の米粉100%で、ふんわりとした食感と口溶けの良さが好評だ。「プレーン」や「ショコラ」をはじめ、季節ごとのフレーバー5、6種類ほどが毎週土曜日に入荷し、店頭に並ぶ。
同直売所で販売し、価格は1個300円から。取り置きや予約、冷凍発送にも対応している。
問い合わせは同直売所、(電)0297(87)5871。
長野県A・コープ

信州産の卵と牛乳をふんだんに使う。リンゴのペーストと濃縮ジュースを原料に、甘味と酸味をバランスよく仕上げた「信州産りんご」と、芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴の「和梨」の2種類がある。
2種類とも1パック538円。生徒の「販路を広げて、信州の活性化に貢献したい」との思いを受け、長野県A・コープが連携する。県A・コープオリジナル商品として、29店舗で販売している。
問い合わせは長野県A・コープ総務企画課、(電)026(254)7771。
審査委員長 やくみつる氏

20年経て新フェーズに
大賞の「おむすびジャム」は、ネーミングが大きく貢献しています。「おむすびにジャムとは何事だ?」と感じるようなネーミングを逆手にとり、食べたら瓶ラベルの通り「お!」と思わせる。おむすびに塗って焼くとピリ辛で、甘辛路線が多い焼きおにぎりの新機軸になるでしょう。販売の目玉になり、一村逸品が20年を経て新たなフェーズに入ったと期待させる商品です。金賞の「タプナード」はオリーブ食品の発展形でパンやパスタ、魚料理にも合いそう。パッケージに「pan no tomo」とイタリア語に見せかけて”パンの友”。これがあるだけでホテルの朝食のようなおしゃれな食卓になります。
同じく金賞の「あまおうラーメン」は、売り場で埋没しない、まさかの味の組み合わせです。まず受け狙いで買ってもらえる可能性は高いです。食べるとイチゴが香り、初めは違和感を感じますが、それくらいでないと恒常的に売れません。うまいさじ加減です。
「北海道長沼かりんとう饅頭」は味の良さではダントツ。温めると全く新しいスイーツになります。皮も香ばしく、万人がうまいと思うでしょう。
「金時豆のパン」もおいしさでは上位です。甘さを抑え、洋風の味わいは、もはやスイーツ。豆を食べる機会が少なそうな若い人には、手に取りやすく新鮮な味に感じるかもしれません。
「お米の生しふぉん」は、これまでの審査で最も柔らかな商品。ここまでふわふわにできるのか!と驚きました。優しい味に、何かインパクトが加わるとなお良いです。
「南農かすてら」は、フルーツの香りがしっかりしています。包装にある”ふわしゅわカステラ”のキャッチフレーズが、果汁感も出ていいですね。
(聞き手・石原邦子)