輸出促進特集 JA静岡経済連 認定受けイチゴ産地を強化

  


 農林水産省は3月、農林水産物・食品の2025年1月の輸出額が953億7500万円になったと公表した。1月としてはデータがある2000年以降で過去最高となり、25年政府目標の2兆円の達成に向け弾みをつける。同省が海外の規制やニーズに対応して輸出に取り組む手本を認定する「フラッグシップ輸出産地」も80以上に増えてきた。その中でJA静岡経済連は、イチゴの輸出で認定された。輸出先国のマーケットインに対応した産地と農産物づくりを進めている。



 
 イチゴが輸出けん引 業務用に販路     


 JA静岡経済連は、イチゴ、ミカン、野菜類、茶などの県産農畜産物の輸出に取り組む。全国に先駆け年に輸出専門部署を設置。国内人口の減少など今後の情勢を背景に、静岡産農畜産物の海外進出をいち早く開拓する取り組みだった。


フラッグシップ輸出産地の認定証授与式(A静岡経済連提供)
 同県の輸出品目の中でもイチゴは特に海外人気が高く、香港、米国、シンガポール、マレーシア、台湾などのアジア・北米諸国を中心に輸出する。23年の全体の輸出額実績は、1億1891万円。うちイチゴは47%を占め、前年比でも219%と倍増、同県の輸出をけん引する=表。


 同経済連は昨年7月、農林水産省が新設した「フラッグシップ輸出産地」にイチゴ産地として認定。これは輸出の手本となる産地を認定し、国が後押しする制度だ。農林水産物の一層の輸出拡大を図るため、輸出産地の取り組みを可視化し、輸出産地の形成を促進する狙いだ。



 
 台湾向け産地を整備 業務用に販路    



静岡イチゴを使ったケーキを販売する香港の洋菓子店(JA静岡経済連提供)
 同経済連では例年12~5月にかけて「紅ほっぺ」と「きらぴ香」の2品種で輸出事業に取り組む。糖度が高く高品質なため。生食用の高級青果として販売される他、日系企業のケーキ用などの業務需要も増えてきた。業務用は小売り用とは規格も異なり、価格も比較的安定しているなどの違いを打ち出し、販路を拡大している。

 流通開発課では、県内JAや生産者らと連携し、輸出先国の規制に対応した産地づくりを支援する。

 残留農薬の基準など規制が厳しい台湾向けは、3年越しの対応で産地づくりを成功させた。産地では総合的病害虫・雑草管理(IPM)を実施天敵による防除や紫外線ライト(UV-B)の活用、定植前に二酸化炭素(CO2)処理でダニを防除してから本圃(ほんぽ)に入れるなど、圃場づくりをしてきた。約200㌔を輸出。1パック(200㌘入り)を約2500円で販売した。



 
 国も勉強会で支援 つながり重視    



現地でプロモーション活動を行う職員(JA静岡経済連提供)
 現在,台湾向けの農畜産物は、農水省や国が積極的に推進。全国の輸出産地に対して、輸出に向けた勉強会を開くなどの取り組みを強化する。

 特に規制が厳しい農薬については、台湾政府は日本のイチゴに対して残留農薬の全品検査を実施。違反すると業者や商品がホームページに公開され、輸出停止のリスクも伴う。そのため国を挙げて台湾の規制に対する支援が重要だ。


シンガポールで店頭に並ぶ静岡イチゴ(JA静岡経済連提供)
 併せて同経済連では昨年11月、「静岡いちご産地輸出セミナー」を、生産者、県内JA、県、流通事業者の担当らを集め開催。情報共有や意見交換を通じて生産者の理解を深め、輸出産地としての基盤強化を図る。

  同経済連流通開発課の井谷靖徳課長は「出口対策として、現地でのプロモーション活動を重視している。対面での商談を通じて、最新のマーケットニーズを把握し、それに応じた商品づくりを進めている。取引先の一つとは定期的にフェアを開催し、関係を深めている。

 生産基盤の強化や生産者・JAの理解も大切だが、販売施策では人と人とのつながりが不可欠だ。海外市場でも良好な人間関係を築くことが、静岡の産品を多く扱ってもらうための鍵となる」と意欲を語る。





日本産品への期待

アジアフルーツロジスティカマネージングディレクター
デビッド・アクシオティス氏


 
 優れた味と安全性に注目     


 海外市場から日本産品はどのように見られているのか。アジア圏最大となる生鮮青果のマーケティング展「アジアフルーツロジスティカ」のマネージングディレクター、デビッド・アクシオティス氏に聞いた。

――注目している日本の青果は?

 日本は、正確かつ丁寧に栽培された高品質の果物や野菜の卓越した生産国として知られています。イチゴ、メロン、リンゴなどの果物は完璧に栽培されており、比類のない味と見た目の美しさを提供しています。1高級フルーツと見なされることが多い夕張メロンは、その甘さと完璧な食感で知られています。大粒でジューシー、濃い紫色をした巨峰など本当に美味です。

――日本の1生産者・生産団体・JA(農業協同組合)へのメッセージを

 アジアフルーツロジスティカ(AFL)会場を歩き、日本の果物や野菜の驚くべき品質の高さを直接体験することにいつも興奮を覚え、楽しみにしています。日本が誇る技術革新を目の当たりにして刺激になります。このような貢献は、AFLを豊かにし、展示会そのものを超えたつながりや協力関係も育みま1す。新規ビジネスの開発、トップレベルのコンタクト構築、重要市場の情報収集の場であるAFLが、日本の皆さまに新しい機会と有意義なつながりへの扉を開くことを願っています。






■1第18回「アジアフルーツロジスティカ」は9月3~5日、香港のAsia world Expoで開催。



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<制作/日本農業新聞 広報局>











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