「ザルビオ」に新機能。AIでばれいしょ、てんさいの生育・病害を高精度に予測
「ザルビオ」は、衛星画像を人工知能(AI)で分析し、生育状況や病害の発生予測、雑草防除体系の推奨などを行い、適切な防除時期を通知するシステム。生産者自身の圃場(ほじょう)データを入力することで、ほぼ毎日撮影・自動更新される圃場の衛星画像の地図上に、エリアごとの作物生育状況や病害発生リスクを表示。生産者に最適な作業を提案する。
このザルビオの予測機能が利用できるのは米、小麦、大麦、大豆の4作物であったが、今回それにばれいしょ、てんさいが加わることで、道内の主要な輪作体系管理を複数年にわたり、同システムひとつでカバーできるようになった。
ザルビオの有効性を熱く語る阿部明香マネージャー |
阿部明香ザルビオプロダクトマネージャーは、「ヨーロッパにて、25年以上活用されているアルゴリズムをもとに、北海道の気象や作物の特性を道内の圃場データを用いてアップデートしたことで、高精度な予測を可能にする北海道仕様のシステムができ上がった」と説明する。
ばれいしょは開花期以降に病害が発生しやすくなるため、開花期予測は防除作業の目安となる。
ザルビオによるばれいしょの生育ステージ予測の精度は、机上の評価では「開花始め」で高い結果となっている。生産者はこれを念頭に、圃場を見回ることで作物の生育状況を効率的に把握できる。
また病害予測機能により、重大な病害であるばれいしょの疫病、てんさいの褐斑病の発生時期が通知されるため、最適なタイミングで防除することができる。
さらにザルビオは、播種(はしゅ) から収穫までシーズンを通して、他の作物についても病害防除などの時期が通知されるため、複数の作物を栽培する上で的確な防除の判断に役立つ。
近年、異常気象などの気候変動により、生育や病害発生の見通しが立てづらい。また肥料をはじめ資材費の高騰も経営上の課題だ。ザルビオの予測機能を活用することで、生産者個々に即したリアルタイムの計画が立てられ、圃場に即した過不足のない適切な施肥防除ができる。
将来的には、ヨーロッパで行われている、圃場内でのリスク表示による、重点的に防除すべき箇所の特定といった、より高度な予測を目指す。
阿部マネージャーは「北海道生産者の品質や収量の向上、コスト低減にデジタル技術で貢献したい」と意気込む。
ばれいしょの重要病害である疫病の防除は、道内では例年7 、8 回散布される。この回数を減らす研究も行われてきたが、その成否は天候に大きく左右され、多雨や少雨の年でリスクも変化する。
また公共の広域リスク情報では、生産者の圃場条件や品種によりズレが生じる場合もある。
その点ザルビオは、生産者の1 ㌔メッシュの圃場データを基にリスクを予測。圃場ごとにいつが危ないかを教えてくれるので、生産者は、どこから手を付ければ良いのか判断できる。
BASFジャパンの疫病・べと病用殺菌剤「ザンプロDMフロアブル」は、2つの有効成分で疫病菌の全てのステージに作用し防除する。2成分のため耐性菌発達リスクを低減する。残効性、耐雨性、治療的効果に優れる。また収穫前日まで使える。
ザンプロ DMフロアブルの効果について語る竹田重仁フィールドクロップシステムマネージャー |
BASFジャパンは、ザルビオにばれいしょとてんさいの生育ステージと主要病害予測機能を実装したことを記念して「北海道限定企画『ザルビオ×ザンプロDMフロアブル』アンケートキャンペーン」を行う。