AIとロボで省人化 人口減少でも安定出荷 北海道・JAふらのタマネギ選果場
JAは9月から翌年1月のピーク時、タマネギを1日約220トン道外に出荷する。選果場には人手が要るが、富良野市の人口が2023年に2万人を切るなど人手確保が課題だ。対応として同年、最新機器を備えた選果場を稼働させた。
仕組みの一つが「プレソーター」で、AIカメラを備えた装置だ。タマネギの外部・内部の品質を判定し、問題がありそうなものは手選別ラインへ排出する。JAによると、タマネギ1玉を3台のカメラで計12枚撮影するため、ほぼ100%解析できるという。
ロボットアーム「キャリスター」は、1玉ごとの重さを正確に計量する。1箱の重さをぶれずに箱詰めできて、箱数や経費の削減につながる。JAでは年間7万~10万ケースを出荷する。1箱当たり2玉の誤差があると、1億2000万~1億8000万円の損失になると推計する。
自動でパレットへの積み付けや収納を行う自動倉庫も備える。市場向けタマネギを100%パレットに切り替えたことで、選果場内の荷役作業も削減。選果に必要な人員と合わせ、4選果場で約130人いた人員を約60人に削減できた。さらにトラック運転手の荷役時間を大幅に削減し、流通の効率化にもつなげている。
JAの菊地邦之常務は「地域の人口減少が進む中、いかに省人化できるかが重要だった」と説明。その上で「工場新設には莫大(ばくだい)なコストがかかったが、省人化、集約によるランニングコストの削減効果の方が大きい」と強調する。