
活動の中核を担うのは、和歌山県みなべ町の梅干し生産者で、塩とシソで漬ける昔ながらの梅干し作りの継承活動をする「梅ボーイズ」代表の山本将志郎さん(30)だ。「産地ごとに品種も味も違う、日本の梅干し文化を守りたい」と話す。

返礼品のうち、支援を受ける産地を含む梅干しセットは今年産の予約が早々に完売し、来年分の申し込みも入った。第1弾として支援を受けた計3産地は、ノウハウ提供を受けながら5月までに自己資金で施設の整備を終え、販路開拓にもつながった。
支援を受ける愛知県新城市の農家の大江晃正さん(48)は、川売(かおれ)地区で「長束(なつか)」「鶯宿(おうしゅく)」の梅干しを作る。義理の祖父母から梅干し作りを受け継いだが「意外と知らない用具選びなど、梅干しのトップ産地の和歌山県ならではのノウハウ提供はありがたい」と話す。
同県常滑市の澤田酒造社長の澤田薫さん(43)は、知多市の「佐布里(そうり)梅」を梅酒用に農家から仕入れてきた。梅干しを作れないなら梅栽培もやめる、との声を聞き、家屋改修で低予算でも整備できる例を示したいと新規で梅干し製造の許可を取った。今年は梅酒用5トンとは別に、梅干し用に400キロを農家から買って仕込みを始めた。「梅干し作りは梅農家のアイデンティティー。当社が販路をつくることで、梅栽培を後押ししたい」と展望する。
梅ボーイズの活動には全国から10人を超える問い合わせがあった。山本さんは「梅の木さえあれば、梅干しは作れる。再開でも新規でも声をかけてほしい」と呼びかける。