米の価格高騰に伴い、自治体が米の商品券や購入費用など助成する地域が全国に広がっている。地元産の米を配布することで「米離れを防ぎたい」とする米産地の自治体や、子育て世帯や米高騰に苦慮する生活者を支援することが狙いだ。財源は内閣府の重点支援地方交付金やふるさと納税の寄付金などを活用する。
2024年度(23年度補正予算含む)の重点支援地方交付金を活用した米引換券や米の購入助成などの支援を計画した自治体は、全国で30を超える。北海道では「お米・牛乳子育て応援事業」を実施。子育て世代約39万世帯を対象に(1)おこめギフト券または、おこめ券と牛乳贈答券(2)米と牛乳を購入できる電子クーポン(3)米の現物5・5キロ--の中から1つ支給する。23年度から始めて3回目になり、「申請数が増えてきている」(道担当者)という。
富山県小矢部市では、子育て世帯を対象に米の引換券を配布。子ども1人につき同市内で栽培した米10キロと交換できる。引換券と米を交換するJAなどの事業所には米の在庫を確認する市民から問い合わせが多く、一部の事業所では在庫が不足しているという。同市の担当者は「例年引換率は9割弱だが、今年は米高騰の影響でさらに(引換率が)高くなる」と予想する。
ふるさと納税の寄付金を活用し、市民全員に米の購入をする際に使用できるクーポンを配布する自治体もある。沖縄県石垣市では米の高騰による市民の家計負担を軽減するために「いしがきお米クーポン券」を市民1人に1枚(1000円相当)配布する。費用はふるさと納税の寄付金を活用する。同市の担当者は「6月から始めたが、毎日20件ぐらい問い合わせの電話がある。市民の米に対する関心は高い」とする。
多くの自治体が財源とする内閣府の「重点支援地方交付金」は物価高騰に伴う生活者や事業者への支援を実施するために学校給食費の助成や物価高騰の影響を受ける農家への支援などに活用できる。
(藤平樹)