<最新>有機米、情報開示増やすと「おいしく」 三重大学が研究報告
三重大学大学院の関谷信人教授らの研究グループが研究結果をまとめた。実験は2019年に行い、24年11月19日に国際学術誌「Sustainability」に掲載された。
実験では、同大学職員の221人を無作為に二つのグループに分けて、(1)有機米と慣行米(2)全く同じ慣行米--の食べ比べをした。
(1)の結果では、栽培情報を開示した状態で有機米と慣行米の食べ比べをしたグループが、栽培情報を開示していないグループに比べて、「有機米の味を好む」回答が13ポイント多い44・8%、「有機米を再度食べたい」が18ポイント多い34・4%になった。
(2)では、生産者の顔や商品名といった情報を開示して食べ比べをするグループと、開示しないグループに分けた。食味評価ではグループ間で差はなかったが、「再度食べたい」の回答は、開示したグループの方が約12ポイント多い29・4%になった。
(1)、(2)の結果を分析したところ、「有機米の味を好む消費者は有意に有機米を再度食べたくなる」となることが分かった。
関谷教授は結果を受けて、有機米の需要喚起には、「米袋などで積極的に栽培情報を開示していくべき」とする。また、有機米の味を好む人ほど再度購入する可能性が高いとして、「有機米を好む消費者グループを開拓し、売り込むことが重要」と分析している。環境負荷低減の観点から有機栽培の注目度が高まる中、販促のヒントになりそうだ。