ブイぶら下げて牛舎環境改善? 退屈示す行動減る 英国の研究グループ
牛舎内の牛の健康を保つために重要な要素として、適した飼料の給与や運動の他に、環境のエンリッチメント(充実)がある。具体的には、回転式のカウブラシなどがよく使われている。
研究グループは、搾乳牛の牛舎にブイを設置。ブイは空気で膨らませるタイプで柔らかくて安全なもので、ちょうど牛の肩の高さにぶら下げた。このブイの設置前、設置中、撤去後で行動の変化を調べた。なお、牛舎にはカウブラシも常設されている。
牛はカウブラシと同じくらいの頻度でブイと触れ合う様子が観察された。退屈でじっと立ち続けるアイドリング行動や、十分に搾乳したのに再び搾乳ロボットに入るといった行動は減った。論文では「ブイの設置はカウブラシと同様に好ましい効果をもたらす可能性がある」としている。
一方、体をなめたり引っかいたりするセルフグルーミングは増えた。これも同様に退屈な行動だと知られている。どの行動変化を評価するのが畜舎環境が充実していることを示すのに適切なのか、さらに分析が必要だとしている。
研究成果は、米国酪農科学会が発行する学術誌「JDSコミュニケーションズ」に掲載された。