同プロデュースは、2017年に発足。大都市圏での移住就農相談会や現地訪問会、東京都で毎年開く「まるごと南信州フェア」など、認知度向上に向けた取り組みを進め、成果を上げている。
「南信州担い手就農研修制度」の研修生として、地域おこし協力隊制度や国の就農準備資金などを活用し、移住・就農希望者を迎えるのが特徴だ。2年の研修期間後の独立就農を目指す。

研修はJAと同社の専任マネジャーが、管内の代表的な作物でもある夏秋キュウリと「市田柿」の複合経営を指導する。栽培と生産工程管理の基本、出荷までの実践研修に加え、税務など経営の知識も学ぶ。
集団研修が基本だが、「市田柿」栽培では、1人に1本ずつ木を割り当てる。原料柿の栽培から加工、出荷まで一連の作業を個人ごとに行う。
就農後は5年間の経営計画に沿い、営農指導や資金相談、さらには巡回相談など、JAと各市町村が連携して農業経営の安定を支援する。
これまで第1~6期生が独立就農をした。JAの「市田柿品質コンクール」で優秀な成績を残すなど、活躍する卒業生も多い。

豊丘村で就農した第2期生の丸山隆行さん(45)は「自分の農業の基本の全ては、研修で学んだこと」と話す。課題が出たときには、JAの指導員に相談して対策を取る。「それを繰り返すことで、自信や手応えを感じられるようになってきた」と丸山さん。5年目の今年は「ハウスを建てたので、一層の安定生産と収量増加を目指して頑張りたい」と意気込みを語る。
事務局を務めるJA営農部の原博文次長は「市町村との連携で、着実に地域農業の担い手を育成できている。今後はよりブラッシュアップしたい。移住者だけでなく、地元出身者の就農支援を強化し、新規就農者が地域の農業を発展させるためのサポートを行っていく」と話す。