[継ぐメシ! つなぎたい郷土食]農村のおふくろの味 のた餅 長野県諏訪地域
■エダマメであん
のた餅のあんは、エダマメをすり鉢ですり、砂糖と塩を入れて作ったもので、地域では「のた」といわれている。もち米とうるち米を混ぜて炊いた米を半分ほどついて“半殺し”という状態にし、米粒の食感を残すのがポイントだ。
のた餅は農村にとって大切な存在だった。原料のエダマメは昔は田んぼのあぜで作られていた。エダマメが収穫可能な8、9月は盆で子どもが帰省したり、稲刈りで親戚が集まったりすることもある。そんな人が集う場に、のた餅は並んだ。
家庭によって違いが出るのも特徴だ。エダマメをすりつぶす加減、餅に入れるもち米とうるち米の配合比率、砂糖と塩の量は作る人によって異なる。岡谷市に住むJA信州諏訪女性部川岸支部長の鮎澤昭子さん(78)は「各家庭の味があるので、地域を離れた人にとっては、ふるさとを感じる味になる」と説明する。
伝承活動もする。2007年には、JAや当時の諏訪農業改良普及センターが事務局となり、農家らがレシピ集を発行。諏訪の代表的な郷土食「のた餅」が紹介されている。
■次代に残す工夫
鮎澤さんは伝統食を次世代に残すための工夫を提案する。
手間がかかるエダマメのすりつぶしではフードプロセッサーを使うことや、冷凍のエダマメを使ってゆで時間を短縮することで楽になるとみる。「郷土の味を若い世代に伝えていきたい」と話す。
■レシピ
■材料(5人前)
もち米とうるち米(7対3から4対1の割合)3カップ、水3カップ弱、エダマメ600グラム、砂糖80グラム、塩小さじ1。
■作り方
①もち米とうるち米を合わせてとぎ、水を入れて炊く。
②炊き上がった①を米粒が半分ほど残る“半殺し”という状態になるまでつく。
③エダマメを10~15分ほどゆでる。粗熱を取り、さやから豆を出し、すり鉢ですりつぶす。
④味を確かめながら、③に砂糖と塩を少しずつ入れる。水気が足りない場合、水や湯を入れて軟らかくする。
⑤②を茶わんによそい、上から④をかける。 動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=bpeZWJy5sWU