
岐阜県高山市の木工家、牧野泰之さん(55)は長年、工場に入ってきたカメムシに悩まされていた。臭いはもちろん、ふんが付着すると落としにくく、色残りもするからだ。
知人のアイデアを参考に、牧野さんはペットボトルを使った捕獲器を考案した。
二つに切り分けたペットボトルの口側を逆さまにして固定することで、捕獲したカメムシが逃げられない構造にした。
ポイントは、捕獲器の中に少量の灯油を注ぐこと。カメムシは灯油の中に沈んで死に、臭いも発しないという。灯油は前年の残りものでもいい。

カメムシは、壁などから手足を離し、落下する際の勢いを利用して飛ぶ。カメムシの直下に捕獲器を準備して、ほうきを近づけるだけで、カメムシは捕獲器に入るという。牧野さんは「何十匹と捕れるようになった」と話す。
捕まえたカメムシは焼却炉に投入して処理する。
SNSで大反響
三重県の写真家の作品を発表するインターネット上の仮想ギャラリー「三重フォトギャラリー」を運営する「ふがまるちゃん@三重県を撮る写真家」さんは、室内に侵入したカメムシを、夜間に捕まえておける方法を提案する。
ペットボトルの口側を逆さにして装着するのは牧野さんと一緒だが、違いは捕獲器の下に発光ダイオード(LEDライト)を置くこと。「カメムシが光に集まり、下に逃げる習性を利用した」という。
人が捕まえにいくのではなく、カメムシが自ら捕獲器に入ることを狙う。

「ふがまるちゃん」さんは昨年9月、交流サイト(SNS)のX(旧ツイッター)に捕獲器を投稿したところ、今年6月時点で1万1000件の「いいね」を集めた。「素晴らしいアイデア」「やってみよう」などのコメントも寄せられていて、「反響の大きさに驚いている」と話す。(中村元則)
■材料
2リットルの空のペットボトル(正方形か長方形に近いものが望ましい。カメムシを大量に入れておけるため)、ビニールテープ(布テープも可)、カッターナイフ
■作り方
- ペットボトルの上部3分の1ぐらいをカッターナイフで切断する。
- 口側を逆さにして、片方のペットボトルに装着する。
- ビニールテープでペットボトルの装着部分を2回程度ぐるぐる巻いて固定する。