地産地消は、地域で生産された農林水産物をその地域で消費しようとする取り組みのこと。対して、国消国産は「国民が必要とし、消費する食料は、できるだけその国で生産する」という意味だ。この考え方の順序に基づき、「消」が先に来る語順を採用している。
新型コロナウイルス下では、海外生産に依存していたマスクの不足が問題となった。カロリーベース自給率が37%しかない食料で、同じことが起きたら――。そんな食料安全保障への危機感から、2020年にJA全中が提唱したのが「国消国産」だ。
「国産国消」の語順では「国内で生産した食料を国民が消費する」という意味になる。国産消費拡大には有効なメッセージとなるが、海外に頼る農産物の輸入が難しくなっても、現状の自給率では国民に必要な食料を供給し切れない。食料安保強化の観点からは、メッセージが不足する。
一方、国民が必要とする食料を作り続けるには、その担い手である農業・農村を支えてもらい、生産基盤を強化することも重要になる。こうした観点からJAグループは「国消国産」を、国産農産物の消費拡大や国内農業への理解を促す言葉として呼びかけている。
「消費」を意味する「消」が先に来る語順には、もう一つの狙いも含まれている。消費者のニーズに応えて農産物を生産・販売する「マーケットイン」を広めることだ。作ってからどう売るか考える「プロダクトアウト」と対になる手法で、JAグループが自己改革で重視している。
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