高齢者など支援が必要な人の一時的な受け入れ先「1・5次避難所」となったいしかわ総合スポーツセンター(金沢市)ではこの日、ボランティアの活動が始まった。ボランティアは金沢市内に住む人が対象で、1日当たり約30人。交代で避難所の案内や清掃、食料・物資の運搬などを担う。
今回の地震では、石川県が一括してボランティア参加希望者の事前登録を実施。県によると、17日午後2時までに、県内外から計1万300人が登録している。登録者の中から県が必要に応じて市町にボランティアを派遣する仕組みだが、まだ金沢市以外での活動は始まっていない。救命活動やライフラインの復旧などの応急業務を優先していることや、渋滞が発生して救援活動に支障を来す恐れがあることが理由だ。
県の派遣を待たずに、独自でボランティアの募集を始めている自治体もある。液状化の被害が大きかった内灘町では、災害ボランティアセンターが5日から避難所運営を支援してくれる人を募った。町内や近隣に住んでいる人が対象だったが、現在までに330人が登録した。担当者は「どれくらいのニーズがあるのかこれから被災者に調査する」としており、必要であれば県からの派遣を求める。
東日本大震災など過去の災害では、被害規模が大きく、希望者に対応できる人手が足りていないなどの理由でボランティアを断らざるを得ない状況もあった。県は今後、準備が整い次第知らせるとして「個別に被災地に行くことは控えてほしい」と呼びかけている。
一方、阪神・淡路大震災では、1年間で約138万人のボランティアが活動。炊き出しや避難所運営などに当たった。阪神・淡路大震災で被災し、直後に「被災地NGO協働センター」(神戸市)を立ち上げ、現在は顧問として全国で被災者支援活動を続けている村井雅清さん(73)は「道路状況や被災者のニーズの把握に時間がかかっているのは分かるが、災害の発生から17日たっており被災者は疲弊している」と指摘。「被災者のニーズやボランティアができることも十人十色。一人一人に支援が行き届くようにボランティアをどうマッチングするかが課題だ」と話した。
<ことば> 阪神・淡路大震災
1995年1月17日午前5時46分に発生した戦後初の都市直下型地震。マグニチュード7・3で、史上初めて震度7を記録した。死者6434人、行方不明者3人。全半壊約25万棟。犠牲者の大半が圧迫死だった。