“思い出が収穫”農業バイトの旅 車中泊で北へ南へ 福岡・猿渡夫妻
夫妻は、元新聞販売店経営・猿渡博之さん(54)、みどりさん(54)。後任に販売店を譲り、車中泊用に改装したミニバンで日本一周の旅を始めた。昨年3月に出発した。
1日単位で農業バイトを探せるアプリ「デイワーク」を活用。初の農作業は鳥取市での梨の授粉だった。広大で急斜面の園地は足元が不安定な上、慣れない作業で首と肩の筋肉がパンパンになった。給料袋に重みを感じながら、「農家の大変さが身に染みた。今年はしっかりと梨を味わって食べよう」と誓った。
東北では1カ月間、桃やリンゴの摘果や収穫などに汗を流した。7月には北海道へ上陸。トウモロコシやジャガイモの収穫などに従事した。
農家の優しさも忘れられない思い出だ。食べきれないほどの農産物や手作りのおにぎりとみそ汁、手紙をくれる人もいた。旅立ちの日は充実感と寂しさで涙がこぼれた。「デイワークで人生が変わった。農業や食に対する思いも変わった」。3月からは九州を南下し沖縄へ向かう。