初産はホルで種付けを 黒毛和種より難産リスク低く 家畜改良センター
同センターによると、従来、黒毛和種は小さく生まれやすく難産・死産になりにくいとされ、初産では黒毛和種の精液を付けることが多かった。同センターは2004年以降のホルスタイン種の雄・雌、交雑産子の雄・雌それぞれの難産率を分析。難産は「2、3人もしくは数人を必要とした助産、外科処置、または母牛が死亡した分娩(ぶんべん)」と定義した。
難産率は04年当時はホル雄が13%で最も高く、次いでホル雌が8・1%、交雑種の雄が5%、交雑種の雌が3・3%。直近の23年はホル雄が3・9%、ホル雌が2・4%に下がったが、交雑種は雄6・3%、雌3・8%と横ばい傾向だった。
同センターは、ホルスタインは難産率を下げる改良が進み、在胎期間が短縮され、小さく生まれやすくなったと指摘。一方、黒毛和種では産肉性を追求するため大型化が進行。黒毛和種の平均枝肉重量は、22年度は去勢は515・7キロで10年前から7%増。同センターは、黒毛和種の大型化で産子の交雑種も大きくなりやすくなり、「ホルスタインの改良効果を打ち消しているのではないか」とみる。
同センターは、酪農家にとって交雑産子は副収入として重要になるとも指摘。「能力の高いホル雌には、初めからホルスタイン種を付け、能力が劣るホル雌に黒毛和種を付けるといった判断に役立ててほしい」とする。