生産量拡大めざす
地方自治体で特定の農畜産物を中心に、まちづくりの「戦略」を策定するのは珍しい。市は2015年に施行した「牛乳で乾杯条例」の浸透に向け、17~22年度に「ミルクタウン戦略」を策定。6年間の活動成果や課題を踏まえ、23年度から新たに5カ間の戦略をスタートさせた。
戦略では、二つの柱と、四つの基本目標、10の戦略を明記。指標として、20年度の生乳生産量16万7626トンを最終年度の27年度に18万5337トンへ引き上げる目標を掲げた。

酪農家が安心して働ける職場を目指し、酪農ヘルパーの利用を促進する他、新規就農者の研修や受け入れ先を充実させる。生産資材の高騰に負けない経営基盤の確立に向けては、自給飼料の利用拡大や畜舎に太陽光発電設備の設置を促し、コスト低減を後押しする。
市農務畜産課は「酪農は市農業産出額の5割を占めている。消費拡大で酪農経営の安定を図り、地域の基幹産業を守っていく」と話す。
これまでの戦略の成果は、市町村別農業産出額(生乳部門)に表れている。同市は17年に158億円(全国4位)だったのが、22年は213億円(同2位)になった。「牛乳普及推進隊」の結成や、市内の那須拓陽高校が開発したオリジナル乳製品、生産能力が高い優良雌牛の導入(計287頭)などが実現した。