

一方、活用校の8割が西日本に集中する「東西間の温度差」も生じており、食肉処理施設の増設や関係機関の連携が求められる。
同省は毎年度、全国の自治体に対し、鳥獣被害防止計画の作成状況調査を実施。2017年度から現行手法でジビエの給食活用校数を調べているが、結果は公表されていない。
本紙「給食百景」取材班が同省に取材したところ、17年度は19道府県387校が活用。内訳は兵庫が111校、大分66校、長崎39校、北海道34校と続き、18年度は大分が20道府県569校の3割を占める171校、兵庫121校、島根65校と上位県が入れ替わった。
全国で鳥獣被害や捕獲数が減少した19年度は活用校も減ったが、20年度以降は再び増加。22年度は過去5年間で2・5倍の23道府県933校と最多を更新。大分の176校(小中学校の46%)を筆頭に、兵庫143校(13%)、和歌山99校(27%)、北海道96校(6%)、長野82校(15%)、愛媛61校(同)などと続いた。
西日本に活用校が偏っているのは、人と野生動物の生活圏が近い中山間地が多く、被害を防ぐための捕獲が増え、活用が進んだことが挙げられる。東日本では、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、一部地域で出荷制限が続いたことが背景にある。17年度の活用校は東日本の24都道県中6道県、西日本は23府県中13府県あり、22年度は東が4道県に減った一方、西は19府県に増えた。
最多の大分県は18年、給食でジビエを購入する際の補助制度を新設。中津市のように捕獲から食肉加工、流通、給食調理まで地域一体型で取り組む自治体が相次いでおり、鹿肉カレーなど子どもが食べやすいメニュー開発も進んでいる。
【メモ】 食料・農業・農村基本法改正案は、新設の第48条で「捕獲した鳥獣の食品等としての利用の推進」を明記した。学校給食法も第2条で「命や自然の尊重」「優れた伝統的な食文化への理解」を目標として掲げている。
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