![※[暑さに克つ]](https://www.agrinews.co.jp/media/2024/05/01/l/20240501_vhema75agqtgadanikrv.jpg)
昨年、酷暑が響き主力の「コシヒカリ」の1等米比率が4・7%と過去最低に落ち込んだ新潟県。長岡市の阿部竹亮さん(50)は7月下旬から、作付けする同品種のうち7割の約14ヘクタールで出穂直前に3回目の穂肥散布をした。背負い式動噴で10アール当たり窒素で1キロまく。猛暑下での重労働だが、「プラスに作用するはず。どう収穫に影響するか楽しみだ」と手応えを感じている。
穂肥は通常は2回までだが、県は今年、同品種の高温対策として3回目の実施も検討するよう呼びかけた。高温で稲が消耗して栄養不足に陥るのを防ぎ、等級低下につながる白未熟粒の発生などを抑える狙い。出穂3日前までに葉色が基準に満たなければ投入するよう促す。県内では昨年の等級低下を受け、JAなどが高温対策の周知に力を入れる。同市が管内のJAえちご中越も「昨年の二の舞いにはしない。V字回復を目指す」(ながおか営農センター)と話す。
水管理も重要になる。昨年産でも品質を維持した山形県高畠町の金子和徳さん(47)は、小まめに田に足を運ぶ。田に浅く水を入れ、足跡などの溝に水が残る程度にまで減ったら再び水を入れる「飽水管理」を行うためだ。「高温時に水をためたままだと、温かくなって根腐れしてしまう」(金子さん)。水の出口は、流れをせき止めず少しずつ減水するよう、土のうの置き方を工夫している。
宮城県は、土壌中の窒素成分の減少を懸念する。大崎市にある古川農業試験場で栽培する「ひとめぼれ」の土壌窒素量は、過去5年で最も少ない状況。高温による消耗を避けようと、稲への吸収が進んでいるためと見られ、「対策をしなければ今年も品質低下が起こる可能性は高い」(同試験場)。出穂後の対策として県は、飽水管理の他、昼間は深水にして夜間は落水するよう呼びかける。
(木寺弘和、古田島知則、玉井理美)