米農家の倒産・廃業 24年 進まぬ価格転嫁、経営圧迫
同社によると、1~8月に発生した米農家の倒産は6件、休廃業・解散が28件で、合計34件。23年は通年で35件で過去最多だった。24年通年ではそれを上回り、過去最多を更新する見通しだ。集計したのは、負債1000万円以上の法的整理による倒産や休廃業・解散の件数。法人化していない家族経営を含めると、廃業はさらに膨らむとみられる。
背景にあるのが生産コストの高止まりだ。農水省の7月の農業物価指数(20年の平均価格を100)は、肥料が139、農薬は115、光熱動力は132と高騰する一方、米は95と低迷している。
同社は、米の消費減が続く中で価格転嫁もしにくく、農家に利益が残らないことから翌年の生産に必要な費用が捻出できず、米作りを断念するケースも多かったと分析。「資材高騰と値上げ難で農家が経営をあきらめる状況が続けば、将来的に主食の米が安定的に供給できなくなる可能性もある」とみる。
24年産米は、JAなどが農家に支払う概算金の水準が大幅に上昇。JA全農の各県本部などからは概算金の水準について、生産コストの上昇を踏まえ、農家の営農継続を重視する観点で設定したといった声が上がる。