ふるさと納税は自治体が集めた寄付の使い道が分かりにくいと批判もあり、総務省が2017年、使途を示した上で寄付を募るCF型などを推奨。同省の資料を集計すると23年度は369自治体がCF型を活用し、うち農業関連支援は3道県・23市町村に上った。
新潟県三条市は、昨夏の猛暑や雨不足で稲作や果樹、酪農が深刻な影響を受け、農家を支援するCF型を初めて実施。目標額の12倍を超える6164万円が集まり、1749経営体に1億9148万円を支給した。

一方、災害で傷つくなどした規格外品を「訳あり品」として返礼品にする自治体が増えている。返礼品57万点以上を掲載する大手ポータルサイト「ふるさとチョイス」を集計したところ、15日現在、少なくとも1県・61市町あった。内訳は米9点、野菜21点、果実190点で、猛暑で細ったネギや台風で傷ついたマンゴーなどが返礼品となっていた。
山形県三川町は7月下旬の豪雨で田が冠水し、有機認証を取り下げた農家の新米を9月から返礼品に追加。年6~12回に分けて寄付者に送る。寄付額は約9万~33万円で、既に16件の寄付があったという。
23年度のふるさと納税の利用者は1000万人を超え、寄付総額も1兆円を突破した。ふるさとチョイスの運営会社は、気候変動や紛争などのリスクが食料や産地を守る行動につながっていると分析し、今後のふるさと納税のトレンドに「第1次産業支援」を挙げた。
<ことば>CF型ふるさと納税 地方自治体の財源不足が深刻化する中、抱える課題や解決策を示し、必要な費用を寄付で募る。通常と同様に返礼品がある場合が多いが、本来の目的である「地域に貢献」への思いが反映されやすいとされる。
(糸井里未)