23年農業産出額9・5兆円 過去20年で最大 鶏卵、米価上昇
農業総産出額は、国内の農家が農畜産物の販売で得た売上高を足し合わせたもの。1984年(11兆7171億円)をピークに長らく減少傾向にあったが、2010年以降は小幅に回復傾向にある。
農業総産出額を品目別に見ると、畜産が前年比7・4%増の3兆7248億円で過去最大だった。鳥インフルエンザの流行に伴う供給減で高騰した鶏卵が押し上げた。鶏卵は32・1%増の7448億円。一方で、需要が低調だった肉用牛は6・8%減の7696億円だった。
米は8・9%増の1兆5193億円。産地が需要に応じた生産に取り組み、米価が回復したことが要因だ。過去最大の1984年(3兆9300億円)と比べると、4割の水準に縮小している。
野菜は4・3%増の2兆3243億円、果実は3・9%増の9593億円。天候不良や生産縮小に伴う供給減で価格が上昇した。
都道府県別では、北海道が最大で4・3%増の1兆3478億円。鹿児島、茨城が続いた。
農業総産出額に占める生産農業所得の割合は34・7%で、ここ10年で3番目に低かった。生産農業所得は、農業総産出額から肥料代などの経費を差し引いたもので、農家の所得に相当する。農業総産出額に占める割合は低下傾向にあり、販売収入のうち農家の手元に残る所得が減っている形だ。