ミカン産地全て不適地に 温室ガス量次第 農研機構が世紀末予測
温州ミカンは国内で最も栽培面積の広い果樹だが、適温域が狭く、すでに日焼けや浮皮といった高温障害が発生している。同機構は2004年にも温州ミカンの適地を予測したが、大まかな地図だった。
新しい地図は、1キロメートルメッシュの詳細な適地移動予測と、今後の温室効果ガス排出量がどう影響するかについて、現在(1990~2009年)、今世紀半ば(40~59年)、今世紀末(80~99年)ごとにシミュレーションした。
同機構によると、温州ミカンの適地は徐々に北上し、今世紀半ばには北陸以南の日本海側の沿岸域や、現在より内陸側まで適地が分布する。地球規模の温室効果ガスの排出量の影響は、産地に非常に大きな影響を及ぼすことも分かった。今世紀末では、排出量によっては、現在の適地の約80%が存続する予測と、適地として存続する場所が皆無になる予測に分かれた。
一方、アボカドの適地は徐々に拡大する。今世紀半ばには現在の温州ミカン適地の多くがアボカド適地になると予測され、適地は現在の2・5倍以上に広がるとした。
現在の温州ミカン産地が適地よりも高温となった場合に栽培を継続するには、シートマルチの敷設や炭酸カルシウム剤の散布に加え、品種の転換などの対策が必要だ。今回の予測から、今後アボカドに転換することも適応策の一つとして考えられることが分かった。同機構は、アボカド以外の樹種転換も視野に、その他の適地予測も進めていくとする。
(南徳絵)