中山間地での水管理の省力化に向け、水田の水位を手軽に確認できる装置を広島県世羅町の水稲農家が開発した。水田に設置するタイプで、車に乗ったまま遠目でも確認できる。ドライバー一つでペットボトルなど簡易な材料を使って組み立てるので費用も抑えられる。4月末からインターネットで販売を始めた。
開発したのは松浦敬潤さん(71)。4月末~8月に水を張り、薬剤散布や高温が続く夏場には朝と夕方に水田を毎日見回る。急な傾斜の畦畔(けいはん)を上り下りするため、足腰への負担が悩みだった。
松浦さんは「楽に水管理ができれば」と、2023年度から装置の開発を始めた。息子の智敬さん(38)と20台以上の試作を重ねて完成させた。
商品名は「水位盤タンジェント」。備え付けた赤い指示棒が水位によって0(真横)~90度(真上)を示し、深さを確認できる。水位が高いほど角度が上がり、例えば45度なら浅水の3センチ、90度なら深水の5センチを示す。装置は10アールに1台設置。植え付け面より低い位置に作った、1株分のくぼみに設置できる。価格は1台4950円。インターネット回線や衛星利用測位システム(GPS)が必要なく、管理費用もかからない。最低3シーズンの耐久性を見込む。
10種類の部品と500~600ミリリットルのペットボトル4本を使って組み立て、慣れれば30分で完成できるという。約700グラムと持ち運びもしやすい。松浦さんは「中山間地の農地を守る小中規模の高齢農家を手助けしたい」と力を込める。問い合わせはKIKI WORKS、(電)080(7852)2840。
(西野大暉)