[ニッポンの米]備蓄米放出、従来の半値 60キロ1万700円 国が輸送費用負担
同省は同日、小売業者からの申し込みの受け付けを始めた。順次、契約を結び、備蓄米を売り渡す。同省によると、複数社から申し込みがあった。放出量は30万トンで、必要に応じて無制限に追加する。国が売り渡し先から同じ量の米を買い戻すルールは設けない。
備蓄米はこれまで、JA全農など大手集荷業者に一般競争入札で販売した後、卸売業者を通じて、小売りや中・外食事業者に供給する形をとっていた。ただ、高い価格を付けた業者から順に売り渡す入札の仕組みだと、備蓄米の価格がつり上がるとの指摘があった。
今回、同省が売り渡し先や売り渡し価格を決められる随意契約に見直すことで、備蓄米の価格を引き下げる狙いがある。備蓄米の放出の目的も、これまでの「流通の円滑化」から「安価な備蓄米の安定供給」に見直し、価格の引き下げを目指す狙いを明確にした。
放出する備蓄米は2022年産が20万トン、21年産が10万トン。売り渡し価格は22年産が1万1010円(60キロ当たり、税別)、21年産が1万80円(同)で、加重平均すると1万700円(同)となる。
一方で、玄米で保管されている備蓄米の精米や袋詰めにかかる費用は、買い手の負担となる。同省によると、精米設備を持つ小売業者は限られるため、卸売業者に委託することが想定されるという。
備蓄米は、米の取扱量が年間1万トン以上の大手小売業者に売り渡す。同省によると、要件を満たすのは約50社という。申し込めるのは、端境期の8月20日までに販売できる量が上限。備蓄米の年産は指定できるが、産地や品種は指定できない。
同省は、備蓄米を売り渡す小売業者の社名と売り渡し量を公表する。小売業者は、いくらでどのくらい販売したかを2週間に1回、同省に報告する。販売時点情報管理(POS)データの提供も義務付ける。
(北坂公紀)