[農家の特報班]フリマアプリで米販売禁止 備蓄米転売対策 農家直販の障壁に
米の出品を禁止したのは、メルカリ、楽天ラクマ、Yahoo!オークション、Yahoo!フリマ、ジモティーなど。米穀関連はパックごはんを除いて全面的に出品禁止物の扱いになった。
メルカリや楽天ラクマなどは、アプリ内でネットショップを開設している事業者に限って販売を継続できる措置を取ったが、個人農家がフリマアプリで農産物を販売するのはほぼ不可能になった。
「個人農家が他にどうやって直販をすればいいのか」。フリマアプリで米を売っていた兵庫県の米農家から届いたメールには、困惑がにじんでいた。運営会社から販売を禁止する連絡が来て、ルール変更を知ったという。
割安な政府備蓄米が転売されないよう、国が国民生活安定緊急措置法の指定物資に米を新たに加えたことが背景にある。小売店や電子商取引(EC)サイトなどで購入した米を購入価格より高値で転売する行為が禁止になった。違反した場合、1年以下の拘禁刑か、100万円以下の罰金が科される。
生産者が自ら作った米をフリマアプリ上で売る行為には法規制が及ばないが、フリマアプリは取引の匿名性が高く、出品物の情報から適法か違法か判断するのが難しい。こうした事情を踏まえて、全面的に禁止する判断をとったとみられる。
フリマアプリは消費者に広く普及している。ECサイトと比べて販売のハードルが低いこともあり、個人農家が販路の一つとして利用するケースも多くあった。米関連の出品物は、運営各社が削除対応を行い、23日午後現在はほとんど確認できなくなっている。
(金子祥也)