みどりGXビジョンについて
みどりGXラボは2024年度、「有機農業・減農薬」や「気候変動」などをテーマにセミナーを開き、現場の課題や必要な支援策を明らかにしてきました。これらを取りまとめた政策提言「みどりGXビジョン」を下記の通り公表します。内容はラボ代表・運営委員の協議を経て決定しており、近く農水省に提出する予定です。
みどりGXビジョン
~持続可能な食と農のための政策提言~
2025年3月17日
日本農業新聞
みどりGXラボ
みどりGXラボは、気候変動の影響が顕在化する中、農業の環境負荷の低減・脱炭素化を進め、「持続可能な食と農」の実現を目指すコンソーシアムとして、2024年7月に設立されました。農家やJA、自治体、企業、研究者、消費者といった多様な主体が参画し、先進事例や最新の動向の共有、会員同士の交流・連携を通じて、課題解決の手法を探ることを目的としています。
私たちが目指す「持続可能な食と農」とは、気候変動に適応し、環境を持続可能にするだけでなく、個々の農業経営や地域も持続可能となる農業・社会の在り方です。ラボでは毎月1回、さまざまなテーマでセミナーや会員交流会を開き、有識者の講演や実践事例の報告を基に、会員が活発に議論を交わしています。これらの意見や課題をまとめ、以下の通り、提言します。
記
1.温室効果ガスの排出削減
(1)J-クレジット制度に関し、事務手続きや申請に関する作業を簡素化するとともに、地域の農業者を取りまとめ、申請を補助する者への支援策を講ずること
(2)農業分野のクレジットが農業者の所得向上や地域農業の維持・発展に貢献するメリットなどを周知し、農業分野のクレジットの積極的な購入を促すこと
2.有機農業、減農薬・化学肥料
(1)JAや農業者グループなど、地域の農産物の販売主体と地元や都市の自治体などが連携し、学校給食に有機農産物を供給する取り組みを支援すること。その際、食育の一環として、有機農業による環境負荷低減への貢献などに関する啓発、農業体験などを通じ、農業への理解を深めること
(2)国内の有機農業の生産や流通、消費の実態について、継続的に公的な調査を行うこと
(3)国際有機農業運動連盟(IFOAM)が主催する有機世界大会の日本開催を誘致すること
3.地域資源の活用・循環
(1)地域資源を活用した資材を農業者が安心して使えるようにするため、産地が行う土壌分析や試験栽培、マッチングといった取り組みを支援するとともに、家畜ふんの臭気軽減など、活用の課題解決に資する技術の開発と普及を推進すること
4.環境再生型農業
(1)公設試験研究機関において、環境再生型農業(リジェネラティブ農業)の研究や技術開発を推進すること
5.生物多様性の保全
(1)生物多様性の保全によるメリットや、保全に資する取り組みを分かりやすく示し、各地域での実践を促すこと。また、「みえるらべる」の認知度向上など、生物多様性の保全に配慮した農産物を消費者が選びやすい環境を整備すること
6.エシカル消費の推進
(1)農業者と消費者が互いに理解を深める活動を後押しすること。とりわけ、生産現場と連携し、環境に配慮した農産物の販売促進を行う流通・小売業者の取り組みをさらに後押しすること
7.気候変動への適応策
(1)公設試験研究機関において、高温耐性品種や、気候変動に適応する技術のいっそうの開発・普及とともに、バイオスティミュラント資材の研究を進めること
PDF版のダウンロードはこちらから
みどりGXラボトップページに戻る