農作業手伝い地域に浸透 宮崎 サッカー・ヴェロスクロノス都農
宮崎県都農町の社会人サッカーチーム「ヴェロスクロノス都農」は、九州サッカーリーグなどに参戦しながら、大半の選手が町の地域おこし協力隊として農作業の手伝いなども手がける。支援を受けた農家がチームのサポーターとなるなど、地域と深い信頼関係を築き、町に活気を吹き込んでいる。
午前中は練習。午後は協力隊員として、農作業支援や空き家の清掃、広場の草刈りなどを行う。ブドウの収穫や袋かけ、トマトの定植といった農作業も農家の依頼に無償で対応する。アスリートとしての体力を生かして重労働も難なくこなす。
町内のブドウ農家、河野伊亨さん(57)は「高齢農家には大変なハウスのビニール張りなどをやってくれるのは本当に助かる」と感謝する。以前はサッカーに興味はなかったが選手との触れ合いを機に、観戦に行くようになり、応援にも力が入る。
町内で開かれるホームゲームの試合は、農家を含め1000人近くが応援に駆け付ける。地元のJA尾鈴は抽選会に農産物を提供するなどして、盛り上げに協力する。
選手の協力隊活動は2019年、宮崎市から同町へのチーム本拠地移転を機に開始。現在は選手28人中、22人が隊員だ。チーム運営会社J・FC宮崎の鳥原章弘総務部長は「協力隊となり、農作業の手伝いなど地域の困りごと解決に関わることで、住民の方々と互いに頼りになる関係になれる。応援でチームを後押ししてくれる」と考える。引退後のセカンドキャリアにつなげることも視野に入れる。
農水省の食育モデルに バスケ・千葉ジェッツ×JAいちかわ
農水省は、地域を拠点に活動するプロスポーツと連携した食育を推進するため、千葉県のプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」と同県のJAいちかわの事例をモデルと位置付け、選手や地域住民による地元産野菜を使った料理教室の動画をインターネット上で配信している。食育の裾野を広げる活動として、全国に展開させたい考えだ。
千葉ジェッツとJAは、食育や農産物PRなどで連携しており、8月に市川市のJA本店で料理教室を開催。親子10組24人が参加した。その様子は、同省の公式ユーチューブチャンネル「maffchannel」で公開されている。
参加者は同チームの荒尾岳選手らと地元産ニンジンや米を使ったパンケーキを作った。荒尾選手は子どもらの質問に答える形で「試合後はすぐに栄養を取って(体を)回復させる」とアスリートの食生活を紹介。JAが協力した船橋市での田植え体験を踏まえ「生産現場を知れば、また違った味わいになる」などと食を学ぶことの大切さを伝えた。
同省は、両者の連携について、「スポーツチームのファンに食の大切さを伝えることで理解者が広がる。選手と触れ合う場を設けることで新たなファン獲得にも結び付く」(消費者行政・食育課)と相乗効果を利点に挙げる。同様の取り組みが全国に広がるよう、プロスポーツとの連携などを後押しする。