サクラ・シスターズ代表
福島県飯舘村の(株)サクラ・シスターズ代表の峯岸ちひろさん(33)は、交流サイト(SNS)総フォロワー数5万人を生かし、インスタグラムなどで福島県の魅力を国内外に発信する。福島と台湾をつなぐアイドルもプロデュースした他、農業も挑戦する。多様な活動で、福島のファンを作る。
同社はパート含め従業員5人。県産品の輸出促進や地域資源を活用した商品の開発などをする。
横浜市出身の峯岸さん。2021年に台湾の視察団体の通訳として初めて福島県を訪れた。その際、道端に並ぶ除染廃棄物を入れたフレコンバックに衝撃を受けたという。「震災から10年経つのに復興が進んでいないと感じた。自分が復興の力になりたい」と決意した。
同村に22年10月に移住し、起業。同村に決めたのは「側道のきれいな花を見てこの村には人をもてなす心があると感じた」からだ。

活動の軸の一つが台湾との交流だ。峯岸さんは大学在学中に芸能活動を開始、休学して台湾へ渡った。台湾では、タレントやインフルエンサーなどの活動を通じてSNSのフォロワー数を増やした。帰国後、台湾と福島の交流の懸け橋となるための交流アイドル「福島もも娘」を峯岸さんがプロデュース。現在は「福島もも娘」の活動や、自身の日常をSNSで伝える。福島県農産品を若い人に興味を持ってもらえるよう日々工夫しながら、情報を発信している。
今、峯岸さんが力を入れているのが、鉱物からできる岩「花崗(かこう)岩」から抽出した鉱石抽出物を土壌改良材に活用するという取り組みだ。峯岸さんは花崗岩に含まれる成分が「農作物の成長に寄与する可能性があるのではないか」とみる。今年の夏にトマトやジャガイモ「イータテベイク」などを栽培し、その効能を確かめる実験を行う予定だ。
峯岸さんは「環境に優しい農業を実現したい」と力を込める。
(藤平樹)