バターサンド 新たな看板に

奈良漬けは、契約農家から仕入れた白ウリを使用。国産バターとアーモンドパウダー入りのクリームで包み、クルミを練り込んだクッキー生地ではさんだ。販売責任者の田中悠亮氏は「コーヒー、紅茶に加え、酒のつまみとして白ワインや日本酒、ウィスキーとも相性が良い」と勧める。
奈良漬一本で商売を続けてきた同社だが、売り上げを支える進物需要が新型コロナウイルス禍で激減。「漬物の枠にとらわれない商品を増やし、手に取ってもらう機会を増やさないといけない」(田中氏)との危機感で、開発に乗り出した。
2021年の発売以降、バレンタインデーや「母の日」など新しい需要を獲得。23年には、「ジャパンフードセレクション」でグランプリを受賞した。田中氏は「30、40代の若い層がリピーターにつき、他の商品も一緒に買ってもらう機会が増えた」と手応えをつかむ。
国産ゴボウでピクルス完成

企画室の示野雅代室長は「ワインの風味とゴボウの食感を楽しめ、和洋問わずいろんな料理に合う」と話す。他の漬物と比べ塩分量を抑え、健康食材としてもアピールする。
23年の白ワイン・赤ワイン仕立てを皮切りに、先日は新商品「スパイスハーブ」も発売。「ホテルや居酒屋など新しい取引先から注文が入るようになった」(示野室長)とし、販路拡大をめざす。
総務省「家計調査」によると、23年の野菜漬物の支出額(2人以上の世帯)は6699円。コロナ下での需要回復も一服し、20年前から25%減った。
全日本漬物協同組合連合会の真野康彦専務は、「個包装したお茶請け商品が増え、いぶりがっことクリームチーズも“大人のおつまみ”として人気を得た」と例を挙げ、新しい消費シーンを創出する商品に期待を寄せる。