切り花をスーパーで購入する人が増えている。国産花き生産流通強化推進協議会の調査によると2023年はスーパーで買う人の割合が40%(複数回答)に到達。仏花の他、贈答用にもできる洋花のブーケ、枝物など専門店さながらの品ぞろえの店舗も出てきて、切り花購入の選択肢の一つとして台頭してきている。
メルシーフラワーが「重陽の節句」に合わせて展開したスーパーでのフェア(横浜市で)
同協議会が23年8月に行ったアンケート調査で、最近1年間の花の購入経路を複数回答で聞いたところ、1位は生花店で76%だった。生花店での購入が横ばいの一方、2位のスーパーは40%と5年間で10ポイント増えて過去最高となった。自宅の装飾用とお供え・墓参り用で購入比率を増やしている。
まるで専門店
関東圏でスーパーを中心に加工束の委託販売を行うメルシーフラワー(神奈川県相模原市)は、定番の仏花と季節感のある花束や枝物だけを束ねたブーケなどを充実させ、店内広告(POP)の掲示など売り場づくりまで担う。季節行事にちなんだり流行色でまとめたりして専門店並みに毎週末のフェアを開き、30~50代の主婦層を中心に気軽に買ってもらおうと訴求。交流サイト(SNS)での発信にも力を入れる。
自前のPOPに加え、値札ラベルに花の品目や品種名も積極的に表示し、売り場の情報量は専門店並みだ。神奈川物流センターの佐藤剣次郎センター長は「花でスーパーに人を呼べるように楽しい売り場の提供を意識している」と話す。
同社が委託販売をする横浜市のサミット踊場駅前店は、入り口近くに花売り場があり、売れ筋は498~698円(税別)の価格帯だという。同店の青果担当者、濱崎李音さんは「50~80代の女性の購入が多いが、若い女性がプレゼント用に買うこともある」と話す。
関東で展開する食品スーパーのヤオコー(埼玉県川越市)は自社での切り花販売にも力を入れる。花を長く楽しめて再購入につながるよう、購入者への切り花栄養剤の配布や、日持ち保証をする商品もあり鮮度と品質にこだわる。特に洋花の売り上げが伸びており、同社は「普段の花はスーパーでと考えるお客さまが増えてきたのではないか」とみている。
広がる選択肢課題は
フラワー需給マッチング協議会が23年に実施したアンケートでは、スーパーで花を買うのは買い物終盤からレジの直前とする人が48%と約半数を占めた。44%が花売り場に栄養剤があると良いと回答。同協議会事務局は、スーパーが利便性や価格が分かりやすいという点などで購入シェアを伸ばしているとみており、「商品や売り場づくり、周辺用品の充実など地域の特徴にあったマーケティングが重要だ」と話す。
(菅原裕美)