富士経済によると、フレグランス市場は2023年に前年比12・6%増の500億円。外出時の使用機会の回復やギフト需要の高まりで市場が拡大した。24年は同9・4%増の547億円となる見込みだ。
植物の青さ表現

パーク・コーポレーションが運営する青山フラワーマーケットは4月下旬、スズランの香水(オードトワレ)を期間限定で発売した。長野県のJAながのみゆきスズラン研究会のスズランを使い、花と葉からエキスを抽出。生花ならではの植物の青さも表現したのが特徴で、価格は40ミリリットル入り3960円だ。同社の三浦素直さんは「本業は生花販売。香水を通じて切り花の購入につながれば」と話す。
同社は13年にフレグランスを発売し、24年は約2万個を売り上げた。現在バラとユリ、スイートピーの3種を通年販売する。生花販売でこだわる産地のものを香水にも使用している。
規格外品を活用

エシカル(倫理的)ブランドの室内用フレグランスとして、規格外の国産バラをメインに使用するのはジャパンフラワーグループだ。バラ専門店「ローズギャラリー」を展開する同社の面田絵美さんは「切り花として商品にならなかったものも生かしきる」と話す。
神奈川県にある契約農家から出た規格外品を集め、花びらから香りを抽出した。21年のブランド設立以降、約1000本を販売。面田さんは「本物のバラの香りもぜひ楽しんでほしい」とする。
雑貨販売も充実

日比谷花壇は、ハーブなどの輸入や加工品の製造販売を手掛ける生活の木(東京都渋谷区)とタッグを組んだ。雑貨販売が伸びていることから、フレグランスの香りを楽しむディフューザーを追加。生花店として花の特性や消費者が好む香りを知っていることを強みに、香りの開発からパッケージのデザインも手掛けた。「母の日」には生花とのセット商品も扱った。
富士経済は今後、フレグランスの使用習慣が広がる余地があるとみており、イベントによる訴求や、成分や香りの効果といった新たな側面からの商品提案が進むとする。
(森ちづる)