「せいろ蒸し」のブームが到来している。家庭料理に求められている時短・ヘルシー・簡単の三拍子がそろっており、レシピ動画メディアでの検索数は5倍に増加。せいろ蒸しに特化したレシピ本の出版されるなど広がりを見せる。“ほったらかし調理”が可能で夏も活用できる。豊作傾向となるキャベツやレタスなど野菜の消費拡大策としても注目だ。
◇手軽さで検索数増加
エブリー(東京都港区)が運営するレシピ動画メディア「デリッシュキッチン」によると、せいろを使ったレシピの検索数は2024年9月ごろから伸長。24年9月と今年5月を比較すると約5倍になっているという。同社はせいろに注目が集まっている理由について、「時短・ヘルシー・簡単という三拍子に加え、初心者でも挑戦しやすく見た目も華やかに仕上がる」とみている。中華料理に使うイメージが根強いせいろだが、多様なメニューに使える。
デリッシュキッチンでは「豚バラキャベツのミルフィーユせいろ蒸し」が人気だ。豚バラとキャベツを重ねるだけで簡単に調理でき、担当者は「蒸すことで水っぽくならず野菜のおいしさが引き立つ」と説明する。

◇人気はSNSから
「せいろ蒸しブーム」の火付け役となったのが、インスタグラムでせいろの魅力やレシピを発信するりよ子さんだ。23年4月から発信を始めると簡単なレシピがうけて、フォロワーは現在約20万人。昨年9月には特化型のレシピ本「すべてを蒸したい せいろレシピ」(1540円)を出版。

6月1日時点で22万部を超える発行部数となり、出版元のGakkenは「レシピ本としては異例のヒット。読者層も10~80代と幅広い」と話す。
◇「夏にもお薦めです」
せいろ蒸しについて、りよ子さんは「野菜をたくさん食べられ、健康的な食事を手軽にできる」と魅力を語る。野菜全般で相性が良いが葉物ではレタスがお勧めだとし、「丸ごと入れても蒸すことでかさが減り、量を食べられる」とする。
暑くなる時期に敬遠されがちな蒸し料理だが、夏野菜にも合う。ほったらかしで調理できる点も夏に向いているとし、「季節野菜の蒸しびたしはお薦め。野菜をまとめて蒸しておけば、食欲ない時でもさっぱり食べられる」と提案する。
(菅原裕美)