北海道のJAむかわ蔬菜(そさい)園芸振興会ブロッコリー部会は、ブロッコリーの栽培を急速に拡大している。栽培技術向上に努める生産者と、労働力確保などに力を入れるJAが息を合わせ、質・量ともに市場に信頼されるブロッコリーを出荷。部会設立からわずか8年の2024年度には、販売額を初の10億円の大台に乗せた。
地域は、道内では冬の雪が少なく夏は比較的冷涼で、冬のレタス、夏のトマトといった高収益な施設園芸が盛ん。一方、地域の農家数が減少し、面積の限られる施設園芸だけでは農地を活用しきれなくなった。そこで、露地でも一定の収益が見込めるブロッコリーが注目を集めた。
17年には同部会が誕生。同年の栽培面積は25ヘクタールで、販売額が1億円に達した。その後も1年間に1億円を超えるペースで販売額が増加。24年度は前年度比2億4000万円増(32%増)の10億1200万円となり、悲願だった10億円を突破した。作付面積は464ヘクタール、部会員は15人まで拡大した。

産地拡大の原動力となっているのが、栽培技術向上に向けた生産者の取り組みだ。初代の小笠原正実・前部会長らが中心となり、毎年の播種(はしゅ)計画の策定や6月からの収穫開始に合わせた圃場(ほじょう)巡回、全体打ち合わせ、栽培技術講習会などを実践。部会役員は、生産者からの相談に手厚く対応した。
JAは努力する生産者を支えた。労働力確保の支援で町と連携し、外国人材を受け入れる短期滞在用の住宅を確保した。また、生産組織向けには定植機の導入も支援。地元でのブロッコリーの生産費を調査して、参入を考える農家が収益性を判断できるようにした。
販売では、市場から求められる日量7000~8000ケース(1ケース22玉)を安定供給できるよう努め、市場と信頼関係を築いてきた。昨年11月の打ち合わせ会では、市場担当者から「シーズンを通して高品質と安定供給で販売させてもらい、多大な出荷に感謝している」との声が寄せられた。
須藤正人部会長は「(24年は)干ばつや大雨、猛暑の夏となったが、部会員の努力で10億円を超えることができた。安定供給をしていくことが重要で、播種や栽培管理をして収量と品質のアップを図りたい」と、今後の生産に向けて意欲を示した。