香川県東かがわ市水主地区の生産者らでつくる水主(みずし)活性化プロジェクト「ももそひめの会」は、ブランド米「水主米」を守り、後世に伝えようと地域ぐるみで活動する。出来秋の収穫祭では、JA香川県の女性部員らと共に、まきを使ったかまど炊き体験を提供。子どもから大人まで幅広く自慢の「おいしくて安全な米」の良さを発信している。
「水主米」は、油かす堆肥などの有機質肥料だけで減農薬栽培した「コシヒカリ」。同地区は、水主神社を中心に「水主三山」と呼ばれる本宮山、那智山、虎丸山に囲まれ、夏場の寒暖差が大きく水はけの良い地質と、三山からの伏流水に恵まれている。
同地区の農家でつくる「水主地区の農業を考える会」が1992年、付加価値を高め差別化を図ろうと米の減農薬栽培を始めた。2000年からは食味、収量の高位安定化を図るため、立毛審査や食味計などを取り入れて会員を対象にした共励会を実施。17年にはブランド化を図ろうと「水主米」を商標登録した。
県農村整備課からの要請で同プロジェクトを立ち上げたのは16年。「水主地区の農業を考える会」の代表でもあり、「水主米」を栽培する間嶋亨さん(67)が会長に就任した。香川大学経済学部の西成典久教授のアドバイスを受けて「水主米」を前面に出したPR活動を始めた。
同地区を通る幹線道路沿いの5カ所に設けた「水主米」のPR用看板の他、田植えから収穫までの期間は100本ののぼりを設置。18年には地域住民を対象に、まきを使った「水主米」のかまど炊きを体験し、その場で食べてもらう収穫祭も始めた。

かまど炊き体験と試食は、児童らの食育にも活用する。同会の会員でもあるJA香川県大内地域女性部の大山千佐代部長の発案で、3年前にスタート。児童らの田植えや稲刈り体験を手がける「大内アグリビジネスクラブ」、収穫した米の炊飯や米料理体験を提供する同女性部、地域活性化に取り組む同プロジェクト一体となり活動する。
昨年は、会員の六車数己さん(71)の農地が41年ぶりに献穀田に選ばれ、「地域の連帯感がさらに深まった」(間嶋さん)。間嶋さんは「水主地区は、風光明媚(めいび)な良い所だと地域の方に再認識してもらえた。次世代につなげていけるような活動を続けていきたい」と意気込む。