24年のキーワード(複数回答)は、「物流」が順位を上げて首位になった。トラックドライバーの労働制約が強まる24年問題で、「これまで届けていた農産物が届けられなくなる」(花き卸)とした課題意識が広がる。一方、「近在産地を新たに開拓していく」(スーパー)と対応を進める業者も多く見られた。
2位は「適正価格(値上げ・コスト転嫁)」で、前年に続いて上位入り。売り上げへの影響を注視する一方で、「資材高などで販売価格へ適正に転嫁しなければ、農家経営を維持できなくなる」(米穀店)との声が大きくなった。消費者の理解を獲得できる提案が求められる。
3位の「安定供給」と4位の「気象」は順位を上げた。「23年の記録的猛暑により農畜産物の流通が混乱した」(青果卸)ことが判断材料になった。安定した供給力を持つ産地との取引ニーズが一層高まる。
5位は、「値頃感(節約志向)」。賃金の伸び悩みや物価高で、消費者の節約志向は根強い。比較的価格の安い商材へ需要が移る可能性がある。一方、ちょっとした高級感を味わえる「プチぜいたく」(13位)も注目され、「消費の二極化が進む」(食品卸)。
「外国人需要」(8位)は円安を追い風に勢いがある。「インバウンド(訪日外国人)の増加による消費拡大が期待できる」(大手コンビニ)。牛肉や果実など高級商材の引き合いに影響が出そうだ。
7位の「持続可能性(環境配慮)」は前年から4ランクダウン。社会に持続可能な開発目標(SDGs)の考えが急速に広がった半面、販売面で差別化することが難しくなったとの見方もあった。
「国産志向・地産地消」(9位)はやや後退した。輸入高騰が一服すれば、再び輸入品が増える懸念もある。「安全・安心」「おいしさ」といった国産の強みを発揮できるかが鍵となる。
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24年の景気は停滞が続く見通しだ。景気は最多が「変わらない」(41%)となるが、「悪化する」が(34%)で「良くなる」(26%)を上回った。