孤立する被災外国人、失業も… 多言語での支援不十分 能登半島地震
「働く場を失った」「実習生の転籍はできるのか」「これからどうすればいいのか」
石川、富山、福井の3県を担当する外国人技能実習機構富山支所(富山市)には連日、監理団体などからの深刻な相談電話が相次いでいる。同支所によると、現制度では「やむを得ない事情」があれば他業種への転籍も認められるが、今回の地震ではまだ国の認定が始まっていない。
同機構は地震後、石川県内の約60の監理団体に対し、被災状況を尋ねるメールを送信した。15日までに6割程度の回答があったが、担当者は「皆、自身の避難生活に追われ、詳細な状況が把握できない」と打ち明ける。
石川県国際交流課などによると、県内の技能実習生3539人のうち農業分野で働いているのは62人、食品製造業589人。能登には漁業や畜産、漆塗りなどの伝統技術を学ぶ実習生が多数おり、母国から家族の安否や支援方法などの問い合わせも多い。
現在、20言語で相談などに当たる同県災害多言語支援センターの担当者は「外国人であることで日本人との支援格差を生んではいけない」と話す。
通訳ボランティア求める動き 募集相次ぐ、学生起用も
能登半島地震で外国人材への通訳支援などが求められる中、1995年1月の阪神・淡路大震災を機に設けられた「防災とボランティア週間」が15日、始まった。全国で通訳ボランティアなどを求める動きが増えている。
首都直下型地震への対応を迫られている東京都の警視庁災害対策課は12日、現役大学生を起用した「学生・語学支援ボランティア」参加を求める動画を配信。避難所などで通訳に当たるボランティアの育成を求める協定を、約40の大学・短大・専門学校と締結し、定期的な研修会も開く。
東日本大震災の被災地・仙台市は災害時通訳の市民ボランティアを募集。奈良県も外国人被災者の相談などに当たるボランティアの登録を募り、研修制度も設ける。他にも神戸市や愛知県豊橋市など多くの自治体が同様の募集をしている。