食料備蓄総量把握へ 農相表明 対策具体化めざす
今月26日召集の通常国会への改正案提出を目指す食料・農業・農村基本法では、食料安全保障の強化を柱の一つに据える。備蓄の放出は、凶作や輸入途絶などにより国内で食料が不足する有事には即効性のある対策となるため、政府として備蓄の在り方についての基本的な方針を示し、適正な確保や計画的な放出につなげる。
備蓄には、国家備蓄などの公的なものと、民間による自主的な在庫確保の2種類がある。このうち民間分は、原材料や製品などのさまざまな形態で保管され、製造段階に加え流通段階にも存在。民間が持つ数量は企業の営業秘密に当たるものもあり、国が十分に把握できていない課題がある。
同省は、こうした国内に存在する官民の備蓄を総合的に把握して対応する備蓄体制を目指す。営業秘密などに配慮した上で、民間在庫量を政府が調査する仕組みも導入する。
坂本農相は、「新たな備蓄は輸入リスク低減の観点から、可能な限り国産品で対応とすることを基本的な考え方とする」とした。各品目の特性に応じて、代替輸入や国内増産の可能性、品目ごとのバランスも考慮して適切な備蓄水準を検討する。
カロリー供給の観点で重要な米について坂本農相は「備蓄全体の基本的な方針に従い、適正な備蓄水準を確保した上で、総合的な米政策の在り方についても検討を行う」と述べた。民間在庫量も考慮する方針を示す一方、現在100万トン程度としている、政府による米の備蓄水準を見直すかどうかは明言を避けた。
国産小麦、大豆については、豊凶変動に対応できるよう民間の調整保管能力を高めていく。