コスト高重く
前年同月と比べた受託戸数の減少率は2023年以降、各月とも6%以上に上昇。24年1月は、地域別では、北海道が5%減、都府県が同8%減と、都府県での減少が特に激しい。「離農ペースが倍増している」(東日本の産地関係者)との声も目立つ。
酪農は高齢化や後継者不足で戸数減少が続いてきたが、生産コストの高騰が経営継続をさらに難しくさせている。農水省によると、23年12月の乳牛用配合飼料価格(工場渡し、バラ)は1トン9万102円と、高騰前の20年同月比で4割高。円安や海上輸送コストの値上がりなどで原料価格が上昇。粗飼料価格も高騰している。
足元では、家庭向けの需要低迷で生乳需給は緩和傾向だ。一方、「このまま戸数と共に搾乳頭数も減ると、数年後にまたバター不足が起きかねない」(乳業関係者)と、先行きを懸念する声も出ている。
第三者に託す
こうした中、酪農の経営基盤を次代につなごうと、自給飼料の生産などでコストの課題を解決しつつ、第三者に経営を継承する動きが強まっている。
先進地の北海道に続き、都府県でも推進しようと、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)と全国酪農協会は21年に支援組織「全酪アカデミー」を設立。これまでに2組が第三者継承を実現した。
全国の酪農協やJAなど39組織が賛助会員として加入し、経営継承を希望する酪農家の情報を随時募集している。全酪アカデミーは「牛や牛舎などの有形資産だけでなく、耕畜連携といった地域でのつながりを維持するためにも、廃業を選ぶ前に第三者継承を検討してほしい」と訴える。
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