沖縄離島で子牛暴落 費用賄えず「努力の限界」
13日の黒島家畜市場の平均価格は前回(3月)から9万8000円(22%)下がった。13、14日の八重山家畜市場(石垣市)では平均価格41万6000円で、前月比8万5000円(17%)安。前年同月と比べてもそれぞれ13万円(27%)安、9万6000円(19%)安と大幅に下落した。運営するJAおきなわは「5月の大型連休で枝肉消費がふるわず、肥育農家に購買の余力が残っていなかった」と分析する。
黒島市場では雌の平均価格が31万4000円、去勢は40万4000円。税別ではそれぞれ30万円、40万円を下回った。母牛100頭規模で経営する竹富町の50代繁殖農家は「ここまで下がるとは思わなかった。努力の限界を超えており、どうすることもできない」と嘆息する。
同市場の19年5月の黒毛和種の平均価格は74万1000円。その半値以下に落ち込んだ。一方、粗飼料を購入するこの農家では、1頭当たりの物財費は60万円近くに上昇。生産するほど赤字も膨らむが、融資の返済があるため、やめるわけにもいかない。「島では道草を刈って与え飼料を減らし、子牛が小さくなるなど悪循環に陥っている。営農継続には緊急支援が必要だ」と訴える。
同市場では今回、島外からの大口購買者が減少。子牛価格が高かった時には西日本を中心に本州から訪れていた肥育農家の足も遠のく。JA八重山地区畜産振興センター畜産部の和田亮平課長は「離島では交通費に加え牛を運ぶ経費や日数がかかる。さまざまなコストが上がり、沖縄の島が最もあおりを受けている」と先が見えない状況を危惧する。