災害予測体制を強化 気象庁が概算要求599億円 精度向上、人員増へ
近年増加している線状降水帯を巡っては、今年は8月22日時点で6回発生したうち4回で半日前予測ができなかった。7月12日に松山市で一家3人が死亡した土砂崩れは市町村が避難指示を出す目安となる「土砂災害警戒情報」を地方台が発表する前に発生し、避難指示と住民の避難行動の遅れにつながった。
一方、8月16日に千葉県東沖を北上した台風7号の進路予想は実際と大きく異なり、鉄道や空路の不要な計画運休につながった。
気象予測が命や営農を左右するケースが増えている。一方、同庁によると現在の観測・予測体制では大気中の水蒸気の状況を正確に把握できず、線状降水帯や局地的な豪雨の予測が難しいという。今回の予算では湿度計未設置のアメダス観測所に設置するなどして観測能力を強化するため、観測設備の充実などに5億1700万円を求めた。
同庁は予測精度を上げる新しい気象衛星「ひまわり10号」を28年度に打ち上げる予定。これまで836億円の予算を計上しており、今年度も周波数調整などに3600万円を求めた。同衛星の観測データを活用し、30年ごろまでに台風の3日先の進路予報円の大きさを半分まで縮める目標を掲げている。
また、8月8日に宮崎県日向灘で起きた地震は南海トラフの震源域で起きており、緊急地震速報や津波警報をより早く正確に発出するための機器増設などの経費も盛り込んだ。