JR貨物検査不正 米の代替輸送へ奔走 ジャガ、タマネギ影響「限定的」
検査不正を受けて同社は11日、安全確認のため全貨物列車の運行を一時停止。安全確認でき次第、順次再開し、12日正午までに全列車の運行を再開した。
ただ、不正があった車両(計631両)の運行は止まったまま。13日時点で「運行再開のめどは立っていない」(同社)。不正車両は同社が所有する車両の約1割を占める。農産物など鮮度劣化がある荷物は、輸送力低下の影響が懸念される。
米は、産地が代替手段としてトラック確保に奔走。ただ、新米シーズンは平時もトラック輸送が活発で、「希望台数を用意してもらえない現場もある」(北陸の産地関係者)。
北海道や東北など日本海側の産地では、トラックに加えて海上輸送への切り替えも進む。東北の産地関係者は「フェリーを含む輸送手段をフル活用し、なるべく供給量が維持できるように計画を練っている」と話す。
輸送の乱れが、米の供給ペースを鈍化させる懸念がある。特に主産地の北日本から遠い関西、九州への輸送は鉄道の割合が高く、「混乱が長期化すれば供給が細る可能性は否定できない」(大手米卸)という。
北海道ではジャガイモ、タマネギが出荷最盛を迎えている。JR貨物は、ホクレンが取り扱う農畜産物の道外輸送の3割を担う「欠かせない大動脈」(産地関係者)だけに、影響が懸念されていた。
同社は、運休となった列車に積まれた荷物を別の列車に積み替えるなどして対応。ホクレンは「影響は限定的」(物流部)として、13日に運行状況や輸送への影響などの情報をまとめ、各JAに伝えた。オホーツク地域でタマネギやジャガイモを栽培する40代の農家は「収穫シーズンを迎え一番大事な時なだけに心配していたが、安心した」と話した。