つまんだイチゴの規格ぴたり 芝浦工大がウエアラブル端末開発
開発した機械は、手首に制御基板や液晶画面を、親指にセンサー、人差し指に磁石を取り付ける。イチゴ果実の最も膨らんでいる部分(円すい形とした時の底面の径)をつかむと、磁力の強さに応じて長さを算出。そこから推測した重さとS~Lなどの規格を、液晶画面に表示する。
端末を付けて「恋みのり」の収穫と規格別のパック詰めをしたところ、1果当たり作業時間は約5秒で、端末なしの作業に比べて14・5%短縮できた。出荷までに果実に触れる回数が少なくなるため、果実表面に付く圧迫傷やすれ傷を減らせることも確かめた。
イチゴは労働時間の約半分を、収穫と出荷調製作業が占める。同大工学部の重宗宏毅准教授は「初心者も熟練者も、付けるだけでその場で規格が分かる。軽量、コンパクトで収穫作業も阻害しない」と説明。今後、企業と実用化を目指す。
国の「戦略的スマート農業技術等の開発・改良」事業で、イチゴの輸出拡大に向けた安定生産技術として開発した。共同研究で、代表機関は農研機構。温州ミカン、アスパラガスなど他の品目にも応用できるとする。