東京・永田町の自民党本部9階に設けられた開票センター。午後8時に開票が始まると同時に、自民単独での過半数割れが確実との情勢が伝わると、党幹部らは険しい表情を浮かべ、会場は静まり返った。
森山裕幹事長も「大変厳しい国民の批判があるのは強く認識している」と神妙な面持ちで語った。
石破茂首相(党総裁)は午後9時40分ごろ、候補者名が並ぶボードに当選確実を示す赤い花を付けたが、表情は険しかった。
自民が単独過半数を下回れば、政権を失った2009年衆院選以来15年ぶり。石破首相は「極めて厳しい状況だ」と述べた。
今回の衆院選で、石破首相は、政権維持に必要な「自民、公明両党で過半数」を勝敗ラインに掲げていた。だが、不記載問題を巡る「政治とカネ」で逆風が渦巻いた。選挙戦終盤には、非公認となった候補者の党支部にも公認候補と同じ2000万円を支給していたことが分かり、情勢が一層、厳しくなった。
石破首相は苦戦の要因について、「政治とカネの問題について全くご理解いただけていないことが一番大きかった」と振り返った。「外交や安全保障、社会保障、農業政策など個々の論点に議論がいかなかった」とも述べた。自身の進退については続投の意向を示した。
非公認候補が当選した場合に追加公認するかどうかについては「国民の理解を得られるかどうかだ」と述べるにとどめた。

非小選挙区で「野党共闘」が進まなかったにもかかわらず、与野党が競り合う選挙区が続出した。
石破首相は「(自民を)変えていかないと、参院選でも厳しいご批判を賜る。(選挙結果を)真摯(しんし)に受け止めたい」と強調した。
東京都新宿区の公明党本部に設けられた開票センター。投票締め切り直後に14候補の当確が報じられた。午後8時半に西田実仁幹事長や山口那津男前代表が姿を見せ、当選を決めた候補者名に花を付けると、党関係者の拍手が響いた。

石井啓一代表が出馬した埼玉14区は激戦の様相を見せた。当落が判明していない午後10時半ごろ、大きく表情を変えることなく、石井代表が開票センターに現れた。与党過半数割れを見通す報道を受け、国民民主党などを含めた大連立への考えを問われた石井代表は「開票結果を最後まで見届けるのが重要。自公できちんとやっていく路線は変わらない」と述べた。
西田幹事長は、与党が議席を大きく減らすとの報道を受けて、「『政治とカネ』の問題で与党に対し、怒り、厳しい反応が現れている」と淡々と語った。
公約では、物価高克服に向けた所得向上や活力ある地域づくりなど6本柱を重点政策に挙げた。農業分野では、生産性向上や環境変化に対応した新品種の開発・導入の後押しなどを掲げた。
