[ニッポンの米]全農 備蓄米5万トン卸へ 4月まで受注分の9割
備蓄米は、大口集荷業者による入札を通じて放出される仕組みで、全農は初回入札(3月10~12日実施)、第2回入札(3月26~28日)の合計で19万9270トンを落札した。全農によると、既に全量が米卸などの販売先と契約済みという。
全農は、米卸からの注文に沿って米卸の精米工場などへ備蓄米を配送する。スーパーや中・外食業者に供給されるまでには、事務手続きなどを含めて2、3週間を要する。
4月末までに引き渡してほしいと米卸から全農に注文があった備蓄米は5万5101トンで、そのうち85%となる4万7031トンが24日までに引き渡された。全農が落札した備蓄米全量と比較すると24%に相当する。5、6月中にも、全農は追加で7万6571トンを引き渡す予定。
米卸間での備蓄米の玄米販売が可能になったことで、これまで備蓄米が供給されなかった一部の米卸やスーパーにも販路が広がった。今後、備蓄米の引き渡しペースが加速する可能性がある。
政府備蓄米の放出を巡っては、全農などの集荷業者を介さずに、米卸などの流通業者に直接販売するべきとする向きがある。ただ、「(卸売業者など)数百社が入札に参加すれば、当然価格は高騰することが予想される」(江藤拓農相)上、引き渡しに係る事務手続きや倉庫からの搬出作業が煩雑化し、供給までに係る時間やコストがかえって膨大になるとした見方がある。
農水省の調査によると、全農など集荷業者は必要経費だけを加えた利益なしの価格で備蓄米を販売している。
全農は現在、1日2000~3000トンの備蓄米を米卸に供給しており、「最大限に速やかな引き渡しに努めている」(同部)と説明する。
(鈴木雄太)