初期投資ゼロで先端技術を導入可能に。労働力不足解消や担い手育成の切り札として、群馬県や岩手県など全国各地で実証実験の実績あり
概要

テクノロジーで持続可能な農業を目指す、AGRIST株式会社(本社:宮崎県新富町、代表取締役:秦裕貴、以下「AGRIST」)は、深刻化する日本の農業が抱える「人手不足」「担い手不足」「スマート農業導入の初期投資負担」といった複合的な課題に対し、AI搭載自動収穫ロボットのシェアリングエコノミーモデルに基づく共同利用レンタル実証実験を本格的に開始しました。
AGRISTでは、昨年度より既に群馬県や岩手県など、複数の地域でAI搭載自動収穫ロボットの試験的なレンタル運用を実施しており、これにより現場での有効性や導入効果に関する貴重な知見と実績を得てまいりました。
今回の取り組みは、これらの実績を踏まえ、高額なロボットを個々の農家が「所有」するのではなく、複数の農家や法人が「必要な時だけ共同で利用」するという新しい発想を、より多様なパートナーシップのもと本格的に検証するものです。


本実証実験には、企業、自治体、JA全農など多様なパートナーが参加予定をしており、全国複数の地域で運用を進めています。このモデルにより、例えばピーク時の収穫作業に必要なロボットを、閑散期には別の農家が利用するといった形で、設備稼働率を高めつつ、各利用者の初期投資負担を大幅に軽減することが可能です。
これにより、これまでスマート農業技術の導入に踏み切れなかった小規模農家や新規就農者も先端技術を活用できるようになり、労働力不足の解消、収穫作業の効率化による生産性向上、さらにはデータに基づいた精密農業の実践が期待されます。また、ロボットの操作やメンテナンス、収集されるデータの分析といった新しいスキル習得の機会を提供することで、次世代の農業を担う人材育成にも貢献できる可能性を検証していきます。
団体概要


AIロボット農場(宮崎県新富町)
AGRISTは、テクノロジーで農業課題を解決し、100年先も続く持続可能な農業を実現するスタートアップ企業です。 AIを搭載した自動収穫ロボットを活用したスマート農業を全国で展開しております。 拠点は、国の地方創生優良事例にも選出された農業が盛んな宮崎県新富町です。 2025年までに農林水産大臣賞を含む国内外で20以上の賞を受賞しました。
本リリースのポイント
- 昨年度の実績を基に本格化群馬県や岩手県などで既に試験的なレンタル実績があり、現場での手応えを得ています。今回の実証実験は、その実績をさらに発展させるものです。
- 初期投資ゼロで先端技術を導入可能に高額なAIロボットの購入ではなく、共同利用レンタルにすることで、初期投資の壁を撤廃。設備投資リスクを抑えつつ、人手不足解消や作業効率向上を実現できます。
- 労働力不足の深刻な課題に直結特に人手が必要な収穫作業をロボットが担うことで、農家や農業法人は限られた人員を生育管理や販路開拓など、より付加価値の高い業務に集中させることが可能になります。
- 地域の農業全体を底上げ特定の農家だけでなく、地域内の複数の農家や法人がロボットを共有利用することで、地域全体の生産性向上や収益力強化につながる可能性を秘めています。
- データ活用と人材育成ロボットが集めた収穫データなどを活用した精密農業の推進や、ロボット操作・管理を通じたスマート農業人材の育成に貢献します。
- 多様なパートナーとの連携企業、自治体、JA全農といった様々な立場の協業者が参加することで、モデルの実効性と普及に向けた多様な視点を取り入れています。
背景

日本の農業生産現場は、基幹的農業従事者の平均年齢が68.4歳(令和4年) と高齢化が進行し、若年層の新規参入も追いつかず、人手不足が恒常的な課題となっています。特に、多くの作物の収穫作業は季節的かつ集中的な労働力を必要とし、この時期の労働力確保が喫緊の課題です。同時に、収量増や品質向上、コスト削減のためにスマート農業技術への期待は大きいものの、高性能な自動収穫ロボットなどは1台数百万円以上と高額であり、多くの農家にとって導入は容易ではありませんでした。技術の恩恵が一部の大規模経営体に留まりがちであるという現状を打破し、より広く日本の農業全体の底上げを図るためには、新しい技術普及の仕組みが必要です。
AGRISTは、こうした課題に対し、単に高性能なロボットを開発・提供するだけでなく、「どうすれば技術が現場に根付き、最大限に活用されるか」を模索してきました。その過程で、昨年度より群馬県や岩手県などで試験的なロボットレンタルを実施し、現場のニーズや導入効果に関する貴重なフィードバックを得てまいりました。
また、日本の農業が古来より持つ、田植えや稲刈りなどを集落内で共同で行う互助の精神にヒントを得ました。この伝統的な共同体の知恵を、現代のテクノロジーと結びつけることで、農業版シェアリングエコノミーという新しいモデルが生まれました。
高価なロボットをみんなで共有し、必要な時に助け合う。この考え方こそが、技術導入のハードルを下げ、持続可能な農業を実現するための鍵になると私たちは信じており、今回の本格的な共同利用レンタル実証実験を開始するに至りました。
一般社団法人AgVenture Lab代表 荻野 浩輝氏(農林中央金庫 特別参与)よりコメント

AGRIST様の今般の発表は、農業分野における革新的な取り組みであり、私どもアグベンチャーラボとしても大きな期待を寄せております。AI搭載自動収穫ロボットのシェアリングエコノミーモデルは、当ラボが推進するスタートアップ企業や多様なパートナーとの「協創」を通じた「社会課題の解消」という理念に合致するものであり、高く評価いたします。
この先進的な技術活用は、本邦農業における深刻な人手不足という課題への対応に留まらず、農林中央金庫グループが目指す「持続可能な社会の実現」ならびに「農林水産業に従事する方々の幸福追求」に貢献するものと認識しております。
高額な初期投資という参入障壁の低減は、多様な人材や革新的なアイデアを農業分野に呼び込み、同分野が創造性と戦略性に富み、かつ就業者が一層のやりがいを感じられる魅力的な産業へと発展する可能性を高めるものと考えられます。
AGRIST様のこの度の取り組みが、地域社会との連携を深めつつ、我が国農業における新たな成功モデルを構築し、その活性化を通じて豊かな食と農の未来を創造する原動力となることを強く期待いたします。
代表取締役 秦 裕貴のメッセージ

日本の農業は、これまで培われてきた知恵と経験、そして農家の皆様の情熱によって支えられています。そして、古来より農村には田植えや稲刈りをみんなで助け合って行う『結い』や『もやい』といった、共同で困難を乗り越える美しい精神文化がありました。
私は、テクノロジーを活用した現代のシェアリングエコノミーこそが、この『結い』の精神を現代に蘇らせる、新しい農業の共同体像を描くものだと確信しています。高価なロボットを個々で所有するのではなく、みんなで共有し、必要な時に助け合う。このモデルは、初期投資の壁を取り払い、これまでスマート農業に手が届かなかった多くの農家さんや農業法人に、未来への可能性を開くことでしょう。昨年度の試験的なレンタル運用で得られた現場からの声や手応えは、この取り組みの確実な一歩になると確信させてくれました。 群馬県や岩手県をはじめ、志を共にしてくださる企業、自治体、JA全農の皆様との連携は、この新しい挑戦にとって非常に心強いものです。
シェアリングエコノミー協会の石山様からも力強いエールをいただき、改めてこの取り組みの意義を強く感じています。これまでの実績と、本実証実験を通じて得られるさらなる知見を活かし、 このモデルを磨き上げ、テクノロジーの力で日本の農業が100年先も輝き続ける未来を創造してまいります。
参考情報
JA全農ぐんまとスマート農業を推進。AIを活用したキュウリ収穫ロボットを導入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000050444.html
人手不足の課題解決へ。収穫ロボットをJA全農いわてへレンタル
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000116.000050444.html
今後の展望

これまでの実績を踏まえ、 本実証実験を通じて、共同利用レンタルモデルにおける最適な運用方法、利用者のニーズに合わせた柔軟な課金体系、円滑なロボットの受け渡しやメンテナンス体制などを確立し、早期の本格サービス提供を目指します。また、連携パートナーの数や地域、対象作物を順次拡大し、より多様な農業現場のニーズに応えられる汎用性の高いサービスへと発展させていきます。
将来的には、自動収穫ロボットにとどまらず、選果や運搬、栽培管理など、農業の様々なプロセスを担うスマート機器のシェアリングも視野に入れ、農業サプライチェーン全体の効率化と持続可能性向上に貢献してまいります。AGRISTは、今後も最先端技術と現場の声に基づいたソリューション開発を通じて、日本の農業、そして世界の農業の発展に貢献してまいります。
【お問い合わせ】
本件に関するお問い合わせ、取材のご依頼につきましては、下記までご連絡ください。
AGRIST株式会社 広報担当:pr@agrist.com
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